「ゴルフは手前から」が基本とはいえ、ミスでグリーン奥に外れることはあります。そこに待っているのは速い“下り”と止まらない面。
本記事は、奥サイドに外したときに大叩きを防ぐための4つの選択肢(パター寄せ/UT・7Iの“パター打ち”/最小限の高さで越える/横出し)と、下りパットのタッチ調整を、ラウンド中にすぐ使える順番でまとめます。
まず結論(30秒サマリー)
奥からの下りは「止める」発想を捨て、速度を殺す・上りに変換する発想で被害最小にします。
- 使える面があるならパター寄せ>UT/7Iのパター打ち(再現性が最優先)。
- 障害物がある場合は、最小限の高さでエッジ+0〜1歩へ着地(低く早く落とす)。
- キャリーが長い+下りの高速面では横出しで仕切り直し(花道に戻す)。
- 下りパットは“下りの1m < 上りの3m”の原則。上りを残す配置に戻す。
なぜ奥からの下りは難しいのか
下り面は重力でボールに加速が乗るため、初速が少し強いだけで大きくオーバーします。さらに、奥ラフや奥バンカーはライが不安定で、スピンを入れにくいケースが多い。だからこそ、高さで止めに行く発想をいったん捨てるのが安全です。
4択の意思決定フロー(20秒でOK)
到着したら、次の順番で可否を判断します。
- ① パター寄せは通るか?(カラー〜エプロンに芝の“滑らかな面”があるか)→ 通るなら最優先。
- ② UT/7Iの“パター打ち”は通るか?(凹凸・段差が多いならパターより安定)→ 通るなら第2優先。
- ③ 障害物(段・ラフ・バンカーの顎)を越える必要は? → 必要なら最小限の高さでエッジ+0〜1歩へ。
- ④ それでもリスク過大?(必要キャリーが大・下り強・硬い) → 横出しで花道へ復帰。
この順で再現性の高い選択肢から使うのが“奥から”の鉄則です。
選択肢の具体手順とコツ
1) パター寄せ(最優先:通ればこれ一択)
カラー〜エプロンが使えるなら、パターでエッジを越えてすぐ失速させるのが最も安全です。
- 狙い:着地点はエッジ直後〜1歩。カップ周りは上りの面に入れる。
- 打ち方:ロフトゼロの“転がし”。振り幅は小さく、出球の初速を抑える。
- 外れてOKの方向:安全サイド(カップ下側)へ外しても良いラインに。
2) UT/7Iの“パター打ち”(カラーが荒い・芝が重い日)
エプロンがデコボコ・芝が重い日は、ソールが広いUT/7Iで“パターのストローク”にすると、球足を短く保ちやすいです。
- セットアップ:スタンス狭め、ボール位置は中央〜やや右。ハンドファーストは最小限。
- 打ち方:リーディングエッジを立てず、ソールを滑らせるイメージでストローク。
- 着地点:基本はエッジ+0〜1歩、上り面が浅いときは+1歩。
3) 最小限の高さで越える(必要最小のロフト)
バンカーの顎や段差で転がしが通らないときだけ、必要最小限の高さで低く早く落とすを徹底します。
- クラブ:58–60°のSW/LW。開きすぎない(開きは最小限)。
- セットアップ:スタンス狭め、ボール位置は中央〜やや右、振り幅は小さく。
- インパクト:トゥ寄り薄当てで初速を抑える(いわゆる“トゥヒット”)。
- 着地点:エッジ+0〜1歩。下りの加速が強いほど0歩寄りへ。
4) 横出し(被害最小の保険)
必要キャリーが長い+下りが強い+面が硬いの三重苦は、ナイスでも止まらないことが多い。横出し→花道→上りに切り替え、ボギーで踏ん張る設計が結局は最速の“被害最小”です。
- 狙い:次打で花道から転がせる角度へ。花道設計を参照。
- 番手:確実に出るクラブ(8I〜PW)でOK。高さは不要。
着地点の原則:エッジ+0〜1歩(下り面は“手前寄り”)
奥からの下りは転がりが勝手に増えるため、着地点はエッジ直後(0歩)〜1歩が基本。状況に応じて微調整します。
- 硬い・速い・強い下り:0歩寄り。
- 柔らかい・抵抗が強い:+1〜2歩。
- フォロー:−0.5歩、アゲインスト:+0.5歩(目安/風の読み方)。
下りパットのタッチ:まず“死に場所”を決める
下りはラインよりタッチ最優先。最初にボールの“死に場所”(カップ下30〜50cm)を決め、そこに収まればOKとします。
- ストローク:振り幅は小さく、インパクトは“触るだけ”のイメージ。
- 狙い:外しても上りが残る方向へ。距離感を先に決め、最後にラインを微調整。
ケース別:奥サイドあるある事例
奥ラフ → 下りグリーン
まずはパター寄せ or UT/7Iが通るかを確認。芝が絡む・段差があるなどで不可なら、最小限の高さでエッジ+0〜1歩へ。
奥バンカー → 下りピン(顎が高い)
必要キャリーが5〜8y以上かつ強い下りなら、横出しで花道に逃がすのが最善。無理に“止めに行く”と連鎖しがち。
砲台グリーンの奥(落差が大きい)
グリーン外の平らな帯があればパター寄せを最優先。帯が無ければUT/7I→最小限の高さ→横出しの順で。
予防策:そもそも“奥の下り”を残さない
最善は“奥に外さない”こと。手前からの原則に戻り、ティーから設計します。
OK/NG早見表(奥からの下り編)
| 行動 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| パター寄せ or UT/7I“パター打ち”を最優先 | OK | 再現性が最も高く、球足を短くできる |
| 最小限の高さでエッジ+0〜1歩に着地 | OK | 下りの加速を抑え、上りへ変換しやすい |
| 必要キャリー大+強い下りで横出し | OK | 花道復帰で“寄せ勝負”に切替(被害最小) |
| 高い球で“止めに行く” | NG | 弾んで奥へ。連鎖ミスの原因 |
| 下りパットで強くヒット | NG | 死に場所を決め、触るだけのタッチで |
60秒フロー(奥からの下り)
- 10秒:カラー/エプロンの可否(パター寄せ or UT/7I)。
- 15秒:必要キャリー・段差・傾斜・面の硬さを確認。
- 15秒:4択を決定(パター>UT/7I>最小限高さ>横出し)。
- 10秒:着地点=エッジ+0〜1歩、外れてOKの方向=安全サイド。
- 10秒:タッチ最優先で実行(プレーファストを守る)。
よくある質問(FAQ)
- Q. どの順番で選べば良い?
- A. パター寄せ>UT/7I>最小限の高さ>横出しの順で、使えるものから。再現性を最優先してください。
- Q. 着地点はどこが安全?
- A. 基本はエッジ+0〜1歩。硬い/速い/強い下りほど0歩寄りに。風はフォローで−0.5歩、アゲインストで+0.5歩が目安です。
- Q. 横出しの判断ラインは?
- A. 必要キャリーが長く、落ちどころが下り&硬いときは横出し優先。花道へ戻せる角度を最優先に。
- Q. 下りパットのコツは?
- A. 先に死に場所(カップ下30〜50cm)を決め、距離感を最優先。外しても上りが残る方向へ。
- Q. 冬や雨の日はどう変わる?
- A. 冬は表面が硬く弾みやすいので着地点をさらに手前に(冬の戦略)。雨で面が重い日はUT/7Iが有効(雨の戦略)。