カート道路(人工物)がボール・スタンス・スイングのいずれかに干渉したら、原則として無罰救済を受けられます(※ローカル掲示があれば最優先)。
本記事では、ニアレストポイント(完全救済点)の見つけ方、左右どちら側に取るかの判断、1クラブレングスの救済エリアと正しいドロップ、救済不可の代表例まで、ラウンド中に迷わない手順で解説します。
目次
まず結論(30秒サマリー)
- カート道路(人工物)にボール接触/スタンス/スイングエリアがかかれば無罰救済。
- ニアレストポイント(完全救済点)=ホールに近づかず、かつ道路の干渉が完全に消える最も近い1点。
- 救済エリア=ニアレストポイントから1クラブレングス内・同じエリア(一般区域など)・ホールに近づかない範囲。
- ドロップは膝の高さ。救済エリア外に止まったら再ドロップ→必要ならプレース。
- 救済できない例:ボールがペナルティエリア内/道路がライン上にあるだけ(※パッティンググリーン以外)。
救済の可否(早見表)
| 状況 | 救済 | ポイント |
|---|---|---|
| ボールが道路上・縁に触れている | ○ 無罰 | 即対象。ニアレストポイント→1クラブ内でドロップ |
| アドレスすると片足が道路にかかる | ○ 無罰 | スタンス干渉も対象(無理な姿勢での主張は不可) |
| 道路がスイングエリアに当たる | ○ 無罰 | クラブが当たる恐れがあるなら対象 |
| 道路が“ライン上”にあるだけ | × 不可 | ラインのみの干渉は対象外(グリーン上の異常状態は別) |
| ボールがペナルティエリア内の道路にある | × 不可 | 無罰救済なし。ペナルティ救済かプレー続行 |
| ニアレストポイントが深いラフや傾斜になる | ○ 無罰 | “最も近い完全救済点”が優先。良いライは選べない |
手順:ニアレストポイント → 1クラブレングス → ドロップ
- 状況確認:ボール・スタンス・スイングのいずれが道路干渉かを確認。ローカル掲示もチェック。
- 仮アドレスで左右を比較:道路の左側・右側それぞれで、完全に干渉が消える最も近い点を探す(どちら側でも可)。
- ニアレストポイント(完全救済点)を決定:ホールに近づかず、かつ元のエリア(一般区域など)と同一であること。
- 救済エリアを測る:その点から1クラブレングス(パター以外の最長クラブでOK)。ホールに近づかない円弧状の範囲。
- 膝の高さからドロップ:ボールを肩でなく膝の高さから救済エリア内へ落とす。エリア内に静止すれば完了。
- リドロップ/プレース:外へ出たら再ドロップ。2回とも外れたら、2回目が最初に触れた地点にプレース。
左右どちら側に取る?(判断のコツ)
- 距離が“近い方”が優先:ライの良し悪しではなく、道路干渉が完全に消える最近点で決まる。
- 左右の距離が同程度なら、次打が打ちやすい側(スタンスが安定/障害物が少ない)を選べる。
- ニアレストポイントが深ラフ・斜面・木の根元になることもある。それでもそこが正解(良い方を選ぶルールではない)。
ケース別の注意点
1) ボールは道路上、ニアレストが“逆サイドのラフ”
ライが悪化しても最近接の完全救済点が優先。深いラフが嫌なら、アンプレアブル(1打罰)や、そのまま打つ選択も可。
2) スタンスだけ道路にかかる
スタンス干渉も救済対象。ただし不自然な広いスタンスや特殊な体勢での主張は不可(合理的なストローク前提)。
3) ライン上に道路があるだけ
原則救済不可(パッティンググリーン上の異常な状態を除く)。安全サイドに狙いを変える。
4) ペナルティエリア内の道路
ボールがペナルティエリア内にある場合は無罰救済なし。ペナルティ救済(1打罰)か、あるいは打つ。
5) バンカー内の排水溝など“人工物”
バンカー内の人工物による干渉は、無罰救済はバンカー内に限定。外へ出すには1打罰(後方線上)での救済が必要。
6) 砂利道・未舗装の通路
多くはカート道路(人工物)扱いだが、ローカルルールで扱いが定義されることも。掲示を確認。
OK/NG早見表(カート道路の救済)
| 行動 | OK/NG | 理由 |
|---|---|---|
| 左右を仮アドレスして“完全救済点”を比較 | OK | 最近接の完全救済点が正しく取れる |
| 同一エリア・1クラブ内・ホールに近づかない | OK | 救済エリアの三条件を満たす |
| 膝の高さからドロップ→外れたら再ドロップ | OK | 正しい手順。2回外れたらプレース |
| ライン上の道路のみで救済主張 | NG | ライン干渉は対象外(グリーン上以外) |
| ペナルティエリア内から無罰救済 | NG | 無罰不可。1打罰のペナルティ救済へ |
現場の60秒フロー(迷ったらこれ)
- 10秒:道路の干渉がどれ(ボール/スタンス/スイング)か確認。
- 15秒:左右で仮アドレス→干渉が完全に消える最近接の点を決定。
- 15秒:その点から1クラブレングス、同一エリア、ホールに近づかない範囲を測る。
- 10秒:膝の高さからドロップ→エリア内に止まればOK。
- 10秒:外れたら再ドロップ→必要ならプレース。プレーファストで進行。
よくある質問(FAQ)
- Q. 左右どちら側でも良い?
- A. はい。ホールに近づかず、干渉が完全に消える“最も近い”点であれば左右どちらでも構いません。
- Q. ライが悪化する側がニアレストになりました……。
- A. それでも最近接の完全救済点が優先です。嫌ならそのまま打つ/アンプレアブル(1打罰)も選択肢です。
- Q. ライン上に道路があるだけでも救済できますか?
- A. 原則できません(パッティンググリーン上の異常状態を除く)。狙いを安全サイドへ調整しましょう。
- Q. ドロップでエリアから転がり出ました。
- A. 再ドロップ。2回とも外れた場合は、2回目が最初に触れた地点にプレースします。
- Q. 砂利道や未舗装の通路も対象?
- A. 多くは対象ですが、扱いはコースのローカルルールに従います。掲示を確認してください。