グリーン周りは“上げる”より“転がす”ほうがミスの幅が小さく再現性が高いのが基本。本記事では、着地点の決め方→番手の逆算という手順で、初心者でも今すぐ使えるチップ&ランの現場メソッドをまとめます。ショートサイドの判断はこちら、ラフの読み方はこちらも参照してください。
目次
まず結論(30秒サマリー)
- 着地点は「エッジから1.5〜2歩」が基準。ここに必ず落とす設計にするとブレが減ります。
- 番手で“ラン”を作る(強く振らない)。同じスイングで番手を替えるのが再現性アップの鍵。
- グリーンが上り/遅い→短く転がる、下り/速い→長く転がる。状況に応じて±1〜2歩の補正を。
- ラフ越えや段差がある時は着地点を1〜2歩奥へ(キャリーを増やす)。
ステップ1:着地点を先に決める(歩測でOK)
花道〜グリーン周りからの寄せは、まず「どこに落とすか」を先に決めます。
- エッジ(グリーン境目)から1.5〜2歩の地点を仮の着地点に設定。
- エッジからピンまでを歩測(例:8歩)。
- 必要ラン=(ピンまでの歩数)−(着地点までの歩数)
例:ピン8歩−着地点2歩=必要ラン6歩。
この必要ランに合わせて番手を選ぶのがチップ&ランの基本です。
ステップ2:番手別キャリー:ラン「目安」
フラットで中速グリーン(一般営業)の目安。個人差・コンディションで変動するため、まずは基準として使い、ラウンド後に自分値へ更新してください。
| クラブ | キャリー:ランの目安 | 「エッジ+2歩」着地時の想定ラン |
|---|---|---|
| 60°(58〜60°) | おおむね 2:1 | 約2〜3歩 |
| 56°(SW) | おおむね 1:1 | 約3〜4歩 |
| 52°(AW) | おおむね 1:1.5 | 約4〜5歩 |
| PW(46〜48°) | おおむね 1:2 | 約5〜6歩 |
| 9I | おおむね 1:3 | 約6〜8歩 |
| 8I | おおむね 1:4 | 約8〜10歩 |
| 7I | おおむね 1:5 | 約10〜12歩 |
上表はあくまで基準。上り/遅いと短く、下り/速いと長くなります(下の補正を参照)。
ステップ3:上り/下り・速い/遅いの「簡易補正」
- 上り or 遅い:想定ランから−1〜2歩。必要なら1番手上げる(例:9I→8I)。
- 下り or 速い:想定ランに+1〜2歩。必要なら1番手下げる(例:9I→PW)。
- 逆目(芝が手前向き):−1歩寄り。順目は+1歩寄り。
- 花道に芝の段差/ラフ越え:着地点を+1〜2歩奥にしてキャリー増。
ステップ4:構えと打ち方(番手を替えて同じ動き)
- スタンス:肩幅より狭く、左足体重60%で固定。
- ボール位置:センター〜やや右。ハンドファーストを軽く(つくり過ぎない)。
- ストローク:パターの延長イメージ。手首のこねを抑え、低く短いフォロー。
- 番手でランを作る:強振で距離を出さない。スイングは常に7〜8割。
- 落とし点最優先:狙った2歩ゾーンに落ちたかを毎回チェック。
ステップ5:ライ別の番手選び
- フェアウェイ/短い花道:9I〜7Iが転がりやすくシンプル。
- 薄芝(硬め):PW/9Iでコンパクトに。ダフリを消す。
- 浅いラフ:芝抵抗で止まりやすい→1番手立てる(例:PW→9I)。
- 深いラフ or 下りの強いライン:無理に転がすより、着地点を奥へ&キャリー多め(AW/SW)に切り替え。
ケース別:番手の決め方(例)
- エッジ→ピンまで6歩、着地点2歩=必要ラン4歩 → PW/52°が目安。
- エッジ→ピン10歩、着地点2歩=必要ラン8歩 → 8Iが目安。
- 下り速いグリーンで必要ラン6歩 → +1〜2歩の補正=9I→PWへ番手ダウン。
OK/NG早見表
| 行為 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| 着地点を「エッジ+1.5〜2歩」に固定 | OK | 毎回同じ条件で比較でき、再現性が上がる |
| 番手でランを作る(強振しない) | OK | ミス幅が小さい。常に7〜8割のテンポ |
| 上り/下り・速い/遅いの補正をしない | NG | ±1〜2歩の簡易補正で大きく改善 |
| 深いラフでも無理に転がす | NG | キャリー多め(AW/SW)へ切替。ショートサイド判断も参照 |
60秒の現場フロー
- 歩測:エッジ→ピンの歩数を測る(例:9歩)。
- 着地点:「エッジ+2歩」に設定。
- 必要ラン=9−2=7歩 → 表の番手目安から選択。
- 補正:上り/下り・速い/遅い・順逆目で±1〜2歩調整。
- 実行:同じテンポ・同じ幅。結果を歩数メモして次回に反映。
よくあるミス → 即修正
| ミス | 原因 | 修正 |
|---|---|---|
| オーバー連発 | 下り/速いの補正不足・強振 | 番手ダウン(9I→PW等)++1〜2歩の補正を先に入れる |
| ショート連発 | 上り/遅いの補正不足・当てにいって減速 | 番手アップ(PW→9I等)+7〜8割の一定テンポ |
| ダフリ/ザックリ | ボールが左寄り・手首を使い過ぎ | 球センター〜右・ハンドファースト軽め・パター風に振る |
| トップ | 起き上がり・手前を怖がる | 落とし点2歩に集中し、低いフォローで押し出す |
よくある質問(FAQ)
- Q. どの番手から練習すれば良い?
- A. まずはPWと9Iで「エッジ+2歩着地→番手でランを作る」を固め、その後8I・7IとAW/SWへ拡張します。
- Q. 傾斜や芝目が複雑で読みにくいです。
- A. 迷ったら安全側(ショート目)に置き、1パット圏を狙える幅で設計します。詳しい判断はショートサイド対策参照。
- Q. 花道が重い/段差があるときは?
- A. 着地点を1〜2歩奥に設定し、キャリーを増やす(AW/SW)と安定します。
- Q. ラフからでも使えますか?
- A. 浅いラフなら有効です。深いラフはキャリー多めor戦略変更を。