横風は飛距離より方向の再現性が鍵。ポイントは、風下側に流れる前提で狙いをズラし、ティー位置と出球の高さで“安全サイド”を作ることです。
この記事では、右→左/左→右の風別に、ターゲット設計・ティー位置・弾道の作り方・クラブ選択・ドッグレッグ/狭ホール対応までを具体化します。
目次
まず結論(30秒サマリー)
- 横風は風下側(リー)に押されるのが前提。風上(ウインドワード)側に狙いと着地点をズラす。
- ティー位置で角度を作る:
右→左の風=ティーは右端(左へ狙いやすく)/左→右の風=ティーは左端。 - 持ち球は変えないのが基本。出球と着地点のシフト+低めの弾道(ティー低め・スリークォーター)。
- 強風=クラブダウン(3W/UT/DI)で高さとスピンを抑え、フェアウェイ優先。
- 危険側(OB/池)が風下側にある時は無理せずレイアップも選択(刻み)。
風の読み方(到着30秒チェック)
- 高いものを見る:旗・樹冠・雲の流れ。地上の体感より上空の風を優先。
- 横風の向き:右→左(R→L)か、左→右(L→R)か。フォロー/アゲの成分が混ざるかも確認。
- 危険側の位置:OB・池・ブッシュが風下にあるか。あれば風上へ大きめに逃がす設計。
ターゲット設計:風別の“出球×着地点”
フェアウェイ幅を3分割(風上端/中央/風下端)で考えるとシンプルです。
右→左(R→L)の横風
- 狙い:フェアウェイ右1/3〜右端に出球→風で中央へ戻す。
- ティー位置:右端に置き、左へ向きやすい角度を作る。
- 持ち球がフェードの人:風と曲がりが逆方向=相殺されやすいので相性◎。出球は右1/3でOK。
- 持ち球がドローの人:風で持ち球が増幅(左流れ)しやすい。出球をさらに右へ/低め/3W/UTを検討。
左→右(L→R)の横風
- 狙い:フェアウェイ左1/3〜左端に出球→風で中央へ戻す。
- ティー位置:左端に置き、右へ向きやすい角度を作る。
- 持ち球がドローの人:風と曲がりが逆方向=相殺で相性◎。出球は左1/3でOK。
- 持ち球がフェードの人:風で右流れが増幅。出球をさらに左へ/低め/3W/UTを検討。
端ピンに向けた「デッド狙い」は封印。安全サイドとセンター基準で十分です。
ティーイングエリアの立ち位置:角度で“安全サイド”を作る
- R→L:ティー右端→左へ狙いやすい。左外へ逃げ道が作れる。
- L→R:ティー左端→右へ狙いやすい。右外へ逃げ道が作れる。
- 狭いホール:狭ホール戦略に準拠。視覚の圧迫は立ち位置で緩和。
- ドッグレッグ:ドッグレッグの向きと風が同方向なら刻みも視野。
弾道とクラブ選択:高さとスピンを抑える
- 低め=風の影響を減らす:ティーやや低め、スリークォーター、フォロー低めで球足を短く。
- クラブダウン:強風日は3W/UT/ドライビングアイアンが有効。スピン・高さを抑えて幅を減らす。
- セットアップ:スタンスやや狭め、ボール位置は標準〜わずかに中寄り。グリップは短めでフェース管理を優先。
アライメントと“出球ライン”の作り方
- 中間目標:ボール前方1〜2mの芝目・ディボット跡などを“出球ライン”に設定。
- 体の向き:肩・腰・足を出球ラインに平行へ。風向きに引っ張られた錯覚を矯正。
- テンポ:横風で力むと高さが出て流れる。テンポ一定、スリークォーターで。
ドッグレッグ/狭いホールでの横風
- 風×曲がり=増幅する組み合わせ(例:R→L風+ドローで右ドッグレッグ)は危険。刻みやUTで角度を確保。
- 風×曲がり=相殺の組み合わせはチャンス。ただし端狙いはしない(センター基準)。
持ち球×風向の簡易マトリクス
| 風向 | 持ち球 | 基本戦略 | 狙い(出球) | 弾道・クラブ |
|---|---|---|---|---|
| R→L | フェード | 相殺で安定 | 右1/3〜右端 | 通常高さ〜やや低め/D or 3W |
| R→L | ドロー | 増幅に注意 | 右端寄りに大きめ | 低め・3W/UTで幅減 |
| L→R | ドロー | 相殺で安定 | 左1/3〜左端 | 通常高さ〜やや低め/D or 3W |
| L→R | フェード | 増幅に注意 | 左端寄りに大きめ | 低め・3W/UTで幅減 |
“持ち球を変える”より、出球の取り方と高さ調整で対処する方が再現性が高いです。
プレーファスト視点の段取り
- 待ち時間=風観察タイム:旗・樹冠・雲で向きと強さを決めておく。
- 2本持ち:ドライバーと代替(3W/UT)を持ってティーへ(Ready Golf)。
OK/NG早見表(横風)
| 行動 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| 風上側へ“出球と着地点”をズラす | OK | 風下への押しを前提に設計 |
| ティーを風上側の端に置く | OK | 狙い方向に構えやすくなる |
| 強風で3W/UTにクラブダウン | OK | 高さとスピンを抑えて幅を減らす |
| 端ピンにデッドで合わせる | NG | 風下側の大ケガ。センター基準へ |
| 高さで打ち上げる(高弾道) | NG | 風の影響が増幅。低め・3/4で |
現場の60秒フロー
- 10秒:風向(R→L/L→R)と危険側を確認。
- 15秒:風上側へターゲットと着地点をシフト。
- 15秒:ティーは風上側の端に置く。中間目標を設定。
- 10秒:球を低めに(ティー低め・スリークォーター)。
- 10秒:強風は3W/UTへ切替。Ready Golfで実行。
よくある質問(FAQ)
- Q. 風に逆らう球(持ち球と逆の曲がり)を打つべき?
- A. 原則は持ち球を変えない。出球のシフトと高さ調整、ティー位置で対処する方が再現性が高いです。
- Q. 高さを抑える具体策は?
- A. ティーをやや低め、スリークォーター、フォロー低め。強風日は3W/UTに替えるのも有効です。
- Q. 横風+狭いホールはどうする?
- A. 狭ホール戦略に準拠し、ティー位置で角度を作る。危険側が風下なら刻みや代替クラブが安全です。
- Q. 横風+ドッグレッグは?
- A. 風と曲がりが同方向で増幅する形は危険。ドッグレッグ攻略どおり、コーナー手前レイアップを検討します。
- Q. 狙いのズラし量の目安は?
- A. 風の強さ・弾道で変わります。まずはフェアウェイ幅の1/3〜1/2を風上へシフト→結果を見て次ホールで微調整してください。