危険な動物の状況(Dangerous Animal Condition)とは、球の近くに刺す・噛む・襲うなど重大な危険を及ぼし得る動物がいて、そのままでは安全に打てない状態のこと。ハチ/ヘビ/クマ/(海外では)ワニ・火アリ などが代表例です。この場合、原則どこにあっても無罰で救済できます。ただしペナルティエリア(PA)内は“PAの中で”無罰救済が原則で、外へ出すには有罰の救済を使います。
目次
危険な動物の救済とは(定義と基本方針)
危険な動物の状況とは、球の近くの動物により、球をそのまま打つと人身に重大な危険があること。
救済はコース上のどこでも認められます(PA内の特殊扱いは後述)。サボテンなど動物以外の危険植物はこの救済の対象外です。
どこでどう救済する?|区域別の手順
1) ジェネラルエリア(GA)
無罰救済。最近接の完全救済点(危険が完全に消える最も近い点・ホールに近づかない)を基準点に、1クラブレングス以内へ膝の高さからドロップします。基準点や救済エリアはGA内に限られます。
2) バンカー
無罰救済。基準点・救済エリアはバンカー内に限られます。完全救済が取れない場合は、最大限の救済(危険が最も少ない地点)を基準点にドロップ。それでも困難なときは、1打罰で後方線上によりバンカー外へ出す選択肢もあります(別救済の扱い)。
3) パッティンググリーン
無罰救済。基準点でプレース(置く)します。基準点・救済エリアはグリーンまたはGAに限られます。完全救済が取れない場合は最大限の救済でプレースします。
4) ペナルティエリア(PA)
無罰救済はPAの“中でのみ”可能です(基準点・救済エリアともにPA内)。
危険を避けるためにPAの外へ出したい場合は、PAの救済(有罰)を適用します(赤杭=横方向/後方線上、黄杭=後方線上)。なお、有罰でPAの外へ出した後、その新しい位置でも危険が続くなら、そこで無罰の危険動物救済を改めて取って構いません。
判断フロー(安全・規則・プレー再開の順)
- 安全確保:無理に近づかない。マスター室/係員に連絡し、状況が収まるまで待機。
- 区域判定:球はGA/バンカー/グリーン/PAのどこか。
- 基準点の決定:危険が完全に消える最も近い点(ホールに近づかない)。
- 救済の実施:GA・バンカー=ドロップ、グリーン=プレース。PAは中で無罰、外へはPA救済(有罰)。
- やり直し条件:救済エリア外に止まったら再ドロップ→それでも外ならプレース。
実戦ケース(使い分けのコツ)
- ラフでスズメバチの巣が見える:GAの完全救済点→1クラブ内で無罰ドロップ。無理に近づかず、同伴者へ声かけ。
- グリーンサイド・カラーでヘビが鎌首:GAの完全救済点を基準に、ドロップ(グリーン上に基準点は取れない)。
- バンカー内でハチの群れ:まずはバンカー内で無罰。完全救済が取れないほど広範囲なら、最大限の救済または1罰で外へ(後方線上)。
- 池の縁(PA内)にヘビ:PAの中で無罰救済。外へ出すには有罰のPA救済を選択。外へ出した新しい位置でも危険が続くなら、そこで無罰の危険動物救済を。
- ティーショットが林の奥、近くにイノシシ:見に行かず安全を優先。球が見つからない・特定できないなら、打ち直し(ストローク&ディスタンス)も視野に。
OK/NG早見表
| 行為 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| 危険な動物を避けるための無罰救済 | OK | どの区域でも可(PAは“中で”) |
| バンカーで完全救済が取れない→最大限の救済 | OK | 基準点=最大限の救済。さらに外へは1罰(後方線上) |
| PA内の危険回避で無罰のまま外へ | NG | 外へ出すなら有罰のPA救済 |
| 「怖いから」だけで救済 | NG | 危険が客観的であること(蜂の巣・実在の蛇など) |
| サボテン・トゲ植物での無罰救済 | NG | 「危険な動物」ではない(ローカル指示があれば別) |
よくある勘違い(NG集)
- 「PAなら何でも無罰で外へ」 → ×:PA内の無罰は中だけ。外は有罰。
- 「危険が少しでも残る所へ基準点を取ってよい」 → ×:完全に消える最近接点が原則。なければ最大限の救済。
- 「見つからない球でも横方向に逃げる」 → ×:球が見つからない・位置が特定できないなら、原則は打ち直し。
よくある質問(FAQ)
- Q. PA内で危険があったので外へ無罰で出しました。問題?
- A. はい。PA内の無罰は中だけです。外へは有罰のPA救済を使います。外へ出した地点でも危険が続くなら、そこで無罰の危険動物救済を改めて取れます。
- Q. バンカーで巣に近く、どこも完全救済が取れません。
- A. まずは最大限の救済(干渉が最も少ない地点)で無罰。それでも難しいときは、1罰で後方線上により外へ出す選択肢があります。
- Q. 危険かどうかの判断に自信がありません。
- A. まず安全優先。無理に近づかず、同伴者・係員に相談しましょう。客観的に危険と言える状況(蜂の巣が見える、蛇がいる等)で救済を取るのが原則です。
- Q. 火アリ(ファイアアント)への救済はローカルが必要?
- A. 多くの場合、危険な動物の状況として無罰救済が可能です。別途のローカルを設けなくても運用できます。