無罰救済・有罰救済に関わらず、正しい「ドロップ」ができるかがスコアと進行を左右します。本記事では、膝の高さから真下に落とすという基本から、救済エリアの決め方、後方線上の要件、再ドロップ→プレースの判断、リプレース(元位置に戻す)の扱いまでを、実戦手順で解説します。
目次
まず結論(要点の先取り)
- ドロップの基本:プレーヤー本人が、膝の高さから真下に、救済エリア内に最初に落ちるようにボールを離す。救済エリア内に静止したら成功。
- 後方線上の救済:球とホールを結ぶ線の上に落とし、最初に線に触れた地点から1クラブレングス以内(ホールに近づかない)に静止すればOK。
- 再ドロップ→プレース:救済エリア外に止まる等で不成立なら再ドロップ。2回とも不成立ならその地点にプレース(置く)。
- プレースで開始する場面:グリーンの救済や元位置に戻す(リプレース)は置くが原則。
いつ「ドロップ」? いつ「プレース/リプレース」?
| 状況 | 手続き | ポイント |
|---|---|---|
| GAの無罰救済(カート道・排水口・テンポラリーウォーター等) | ドロップ | 基準はニアレストポイント(完全救済)→1クラブ内で |
| バンカーの無罰救済(障害物・テンポラリーウォーター) | ドロップ | 原則バンカー内。完全救済が無理なら最大限の救済 |
| PA(赤・黄)の救済 | ドロップ | 選択肢に応じた救済エリア(横方向2CL/後方線上 等) |
| グリーンの救済(誤グリーン・障害物の干渉 等) | プレース | ニアレストポイント(完全救済)で置く |
| グリーン上で球やマーカーを動かした/元位置に戻す | リプレース | 原則無罰で元位置へ置く |
救済エリアの決め方(基準点→範囲)
- 基準点を決める:無罰救済はニアレストポイント(完全救済)、PAは選択肢に応じた基準点、アンプレは元位置や後方線上 等。
- 範囲を測る:多くは1クラブレングス以内(横方向救済は2クラブ)。ホールに近づかないこと、区域の条件(GA/バンカー/PA/グリーン)を満たすこと。
境界線が引かれている場合は線の内側が救済エリア。クラブ長は、そのホールで持ち運ぶクラブのうち最長のクラブ(パターを除く)を使います。
正しいドロップの方法(やり方と姿勢)
- 誰が:プレーヤー本人のみがドロップ。
- 高さ:立った姿勢で膝の高さから。
- 方向:真下に垂直に離す(回転させない・投げない・地面にこすらない)。
- 最初の接地:球は救済エリア内(後方線上は線の上)に最初に落ちること。
- 静止位置:最終的に救済エリア内に静止すれば成功。
後方線上(Back‑on‑the‑Line)の要件
後方線上では、ホール—元の球の位置(またはPAの交点)を結ぶ線上に下がり、線の上にドロップします。
最初に線に触れた地点から1クラブレングス以内(ホールに近づかない)に静止すれば成立です。
再ドロップが必要な主なケース
次のいずれかに当てはまると再ドロップです(代表例)。
- 球が救済エリア外に静止した。
- 球が人や用具に触れた後に地面へ落ちた/静止した。
- 球が線の上以外に最初に接地した(後方線上のとき)。
- 球がホールに近づく方向に静止した。
同じ条件で2回目のドロップも不成立なら、球が最初に接地した地点(または救済エリア内の最も近い地点)にプレース(置く)します。
誤所プレーを防ぐコツ
- 区域の縛り(GA/バンカー/PA/グリーン)を必ず確認。
- 目印(ティー等)で基準点と救済エリアを可視化してからドロップ。
- 後方線上は線上ドロップ→1クラブ以内に静止を忘れない。
- 不安ならやり直しをためらわない(打ってしまう前ならノーペナルティ)。
実戦ケース(場面別の正解)
- GAでカート道にスタンスが乗る:ニアレストポイント(完全救済)→1クラブ内にドロップ。
- バンカーにテンポラリーウォーター:バンカー内の最大限の救済→ドロップ。なお困難なら1罰で後方線上によりバンカー外へ。
- サブグリーン(誤グリーン)にスタンスが掛かる:ニアレストポイント(GA)→1クラブ内にドロップ(グリーン上は不可)。
- 赤杭のPA:横方向2クラブの救済、または後方線上。基準に沿ってドロップ。
- グリーンでスプリンクラーがラインに干渉:ニアレストポイント(グリーン or GA)でプレース。
- グリーン上で球やマーカーをうっかり動かした:無罰でリプレース(元位置へ置く)。
OK/NG早見表
| 行為 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| 膝の高さから真下にドロップ | OK | 本人が実施。救済エリア内に最初に落とす |
| 肩の高さから落とす/投げる/回転させる | NG | 手続き違反→再ドロップへ |
| 後方線上で線の上に落とし1CL以内に静止 | OK | 線外に最初に落としたら再ドロップ |
| 救済エリア外に止まったがプレー | NG | 誤所プレーのリスク(一般の罰) |
| グリーンの救済でドロップ | NG | グリーンの救済はプレース |
判断フロー(迷ったらこの順)
- 区域確認:GA/バンカー/グリーン/PA。
- 基準点決定:ニアレストポイント(完全救済)や交点・元位置。
- 救済エリア測定:1CL or 2CL(ホールに近づかない)。
- ドロップ or プレース:区域に応じて実施。
- 成立確認:エリア内に静止?→NGなら再ドロップ、2回NG→プレース。
よくある質問(FAQ)
- Q. ドロップはキャディがやっても良い?
- A. いいえ。プレーヤー本人のみが行います。
- Q. 救済エリア内に一度入ってから外に転がって止まったら?
- A. 救済エリア内に静止していないため再ドロップです。
- Q. 後方線上で「線から2CL」動かして良い?
- A. いいえ。最初に線に触れた地点から1CL以内に静止が要件です。
- Q. グリーン上はいつも置く?
- A. はい。救済や元位置へ戻すときはプレース/リプレースが原則です。