ドロップゾーンアイキャッチ

ゴルフのドロップゾーン(DZ)の正しい使い方|通常救済との優先関係と注意点

ドロップゾーン(DZ)は、委員会(コース側)が特定の救済を想定して設ける指定のドロップ位置です。池の縁や崖の上など、通常の救済だとプレーが著しく困難になる場所で使われます。この記事では、いつ使えるのか/無罰か有罰か/通常救済との優先関係、そして正しいドロップ手順をテキストだけで分かりやすく整理します。

ドロップゾーン(DZ)とは|“指定の救済位置”を与えるローカル設定

DZはローカルルールで初めて効力を持つ指定エリアです。記載や掲示がなければ存在しません。掲示には通常、①誰に適用(すべてのプレーヤー/特定ホールのみ等)、②どの救済で(ペナルティエリア・誤グリーン・TIOなど)、③無罰か有罰か④使い方(使用可/必須)が書かれます。まずはここを確認しましょう。

通常救済との優先関係|「使用可」か「必須」かで分かれる

DZがあっても、常にそれを使わなければいけないわけではありません。掲示の使用可/必須で判断します。

  • 使用可(オプション):通常救済(例:ペナルティエリアの横方向/後方線上、無罰救済の完全救済点など)と比較して選べる
  • 使用必須:掲示が優先。通常救済よりDZにドロップする義務がある(例:安全確保や進行のため)。

どちらの場合も、掲示文言が最優先です。迷ったらスタート前にマスター室で確認しましょう。

無罰か有罰かの見分け方|“何の救済に対するDZか”で決まる

同じDZでも、ペナルティエリア(PA)に対するDZなら通常は1打罰異常なコース状態(ACC)や誤グリーンに対するDZなら無罰が基本です。掲示には必ず罰の有無が書かれます。

  • PA用のDZ(池の縁など):1打罰でDZへドロップ(赤・黄の救済の追加オプション扱い)。
  • ACC/誤グリーン/TIO用のDZ無罰でDZへドロップ(通常の完全救済点が取りづらい場合の補助)。

前提になる“事実上の確実性(KVC)”|PAでのDZ利用の落とし穴

PAに関するDZを使うには、ボールがそのPAに入ったことが事実上確実(KVC:Known or Virtually Certain)である必要があります。入ったか分からない/ロストかもという状況ではDZは使えません。その場合はストローク&ディスタンス(前の場所から打ち直し)が原則です。

正しいドロップの手順(DZ共通)

DZに「円」「四角」「ラインで囲まれた枠」等の形状指定がある場合、その枠の内側(線の内側)が救済エリアになります。

  1. 掲示の条件を確認(対象・罰の有無・使用可/必須)。
  2. 膝の高さから真下にドロップ(自分またはパートナー)。
  3. ボールは救済エリア内に落ちて、救済エリア内に止まること(線上は含む/外に出たら再ドロップ)。
  4. 再ドロップでも収まらないときは、置く(プレース)

PAの後方線上救済用に設けられたDZでは、掲示に「線上の指定点でプレース」等の特別指定がある場合もあります。掲示が最優先です。

ケース別の使い分け(実戦例)

現場で悩みやすいパターンを、判断の筋道と一緒に示します。

  • 赤杭の池の手前でDZあり(使用可):KVCを満たすなら、1打罰でDZか、通常の横方向救済を比較。次のショットの易しさ進行で選ぶ。
  • 崖上のPAで横方向救済が崖の中使用可のDZがあるなら、後方線上より安全に次打を打てるかを比較。
  • 工事区画(ACC)でDZあり(無罰):完全救済点が取りづらいなら、無罰でDZを選ぶと手早い。
  • グリーン周りの誤グリーン介在でDZ指定(無罰)基準点プレースが難しいケースで、DZへ無罰が認められることがある。

OK/NG早見表(要点だけ)

状況DZ使用可否罰の有無備考
PAに対するDZ(掲示あり)使用可 or 必須(掲示優先)通常は1打罰KVC必須。通常救済(横方向/後方線上)との選択可(使用可の場合)
ACC/誤グリーン/TIOに対するDZ使用可 or 必須(掲示優先)無罰完全救済点が取りにくい場面の補助
入った場所が不明(KVCなし)使用不可原則はストローク&ディスタンス(打ち直し)
枠からはみ出して止まった再ドロップ→それでも出るならプレース救済エリアは枠の内側

よくある勘違い(NG集)

  • 「DZはいつでも使える」→×:掲示があるときだけ、かつ掲示の条件に従う。
  • 「PAに落ちたか不明でもDZでOK」→×:KVCが無いとPA救済もDZも使えない。
  • 「枠に当たって外へ出てもOK」→×中に収まるまで再ドロップ(必要ならプレース)。
  • 「前進4打=DZ」→×:前進4打(特設ティ)は別のローカル運用。混同しない。

現場での読み解きと判断フロー(60秒)

  1. 掲示を確認:対象・罰の有無・使用可/必須。
  2. 前提確認:PAならKVCがあるか。
  3. 選択:使用可なら通常救済と次打の易しさ/安全/進行で比較。
  4. 実行膝の高さから真下にドロップ→枠内に止める。

よくある質問(FAQ)

DZがホールに近い位置でも使える?
使えます。ローカルで指定された救済エリアなので、“ホールに近づく”制限に抵触しません(掲示が優先)。
PAのDZは、横方向救済よりも常に有利?
ケースバイケース。次打のロケーションライ進行を基準に比較しましょう。
KVCは誰が判断する?
プレーヤー自身が状況証拠と目撃情報を総合して判断します。同伴者へ説明し、合理的に確からしい場合のみPA救済(やDZ)を選びます。
枠が消えていて分かりにくい。
マスター室へ確認し、指示に従ってください。境界が不明確な場合は通常救済を選ぶのが無難です。


ドロップゾーンアイキャッチ
最新情報をチェックしよう!