FW(フェアウェイウッド)とUT(ユーティリティ)は、「距離」だけで選ばないほうが成功率が上がります。
本記事では、ライ(芝の長さ・傾斜)、高さ(着地角)、風、狙いどころでの使い分けを、ラウンド中に迷わない“現場台本”としてまとめました。
目次
まず結論(30秒サマリー)
- フェアウェイの平坦=FW有利。球が上がりやすく、キャリー+止めるが狙える。特に7Wは上がりやすく着地角が大きめ。
- ラフ・傾斜=UT有利。短いシャフトでミート率が上がり、抜けが良い。つま先/左足上がりでも振り抜きやすい。
- 逆風=UT(低めで運ぶ)、追い風=FW(高めのキャリーを伸ばす)が基本。
- グリーンを“狙いすぎない”:パー5の2打目は花道や得意距離へレイアップ。「手前から」の原則で大叩きを防ぐ。
- 番手構成は重複幅を作る(例:5W+7W+UT24° or 3W+UT19°+UT24°)。“被り”はむしろ選択肢になる。
FWとUTの役割の違い(かんたん整理)
同じロフト帯でも、シャフト長・重心・ヘッド形状が違うため、出球の性格が変わります。
- FW:長尺でヘッドも大きく、高く上がりやすい。キャリーを稼ぎ、7Wは止めやすい(着地角・スピンが付きやすい)。
- UT:短尺・アイアン寄りの重心で、コンパクトに当てやすい。ラフや傾斜でのミスが減り、風に強めの中弾道を作りやすい。
「FW=飛ぶ」「UT=飛ばない」ではなく、状況適正が違うと理解しましょう。
距離ベースの目安(アマチュア想定の代表例)
下記はキャリー基準の代表レンジです(体力・ヘッドスピードで上下します)。ヤード→メートルは「×0.914」で概算。
| 番手/ロフト | キャリー目安(yd) | キャリー目安(m) | 性格の目安 |
|---|---|---|---|
| 3W(15°) | 190–210 | 174–192 | 飛距離◎・上がりは中〜高 |
| 5W(18°–19°) | 175–195 | 160–178 | 上がりやすい・止まりやすい |
| 7W(21°–22°) | 160–180 | 146–165 | 打ち出し高め・着地角◎ |
| UT 19°(3H) | 175–195 | 160–178 | 風に強め・方向性◎ |
| UT 22°(4H) | 165–185 | 151–169 | 汎用性◎(長いパー3など) |
| UT 25°(5H) | 150–170 | 137–155 | ラフ対応・グリーン狙いに |
3WとUT19°は距離帯が被ります。フェアウェイ=3W/ラフ・傾斜=UTの棲み分けが基本。
ライ・傾斜・風での使い分け(現場用)
フェアウェイ(平坦)
球を高くキャリーさせたいならFW、特に5W/7Wが安全。グリーンを狙う/止める設計に合う。
「花道から転がす」設計ならUTでも可。
ファーストカット・浅めのラフ
芝が少し絡む程度ならUT優勢。FWはソールが跳ねやすく、トップ/ダフリのリスクが上がる。
深いラフ
UT一択に近い。ロフトは22〜25°へ上げ、出す方向>距離に割り切る。FWは抜けにくく、ミス時の飛びすぎも発生しやすい。
つま先上がり/下がり・左足上がり/下がり
- UT優勢(短尺でミート率↑)。つま先上がりは左へ出やすいので右目へ。
- 左足下がりは球が上がりにくいのでUTのロフト多めを選択。
風(向かい・追い・横)
- 逆風:スピン過多・高すぎはNG。UTで中弾道、コンパクトに。
- 追い風:FWでキャリーを伸ばしやすい。7Wは高すぎなら5Wに落とす。
- 横風:FWは風に運ばれやすい。UTで高さを抑え、落とし所を広めに。
シチュエーション別の台本
パー5の2打目(レイアップ)
FW=高弾道・止めやすいので、花道や100yd(90m)残しへ。ラフならUTへ切り替え。手前からが原則。
ロングパー3
キャリーで段越え/ガードバンカー越えなら7W/5W。風が強い日はUT22°で中弾道に。
狭いホールのティーショット
方向性重視でUT。ランが必要ならUTの低めの球、止めたいなら5W。
木越え/高いキャリー必須
7Wが得意。高く上げて止める設計。
木の下を通す・ランで稼ぐ
UTで中低弾道。横出し(パンチアウト)の延長発想。
番手構成の考え方(重複歓迎)
「飛距離の穴」を埋めるより、使い分けの幅を作る発想が有効です。
- 安定型:5W+7W+UT24°(上がりやすさ重視でグリーン狙い◎)
- 風対応型:3W+UT19°+UT24°(被りを許容し、風/ラフ対応を厚く)
- やさしさ優先:7W+UT22°+UT26°(上げて止める&ミート率重視)
ドライバーを外して3Wティーショット主体も選択肢。コース・その日の調子で柔軟に。
よくあるミス → すぐ効く処方
- ラフからFWで大ダフリ:UTへ変更+番手を上げる(ロフト多め)。
- 逆風で吹き上がり:UTでスリークォーター、フィニッシュをコンパクトに。
- 3Wが当たらない:5Wに変更か、同距離帯はUT19°へ。ティーアップすれば3WもOK。
- ロングパー3で止まらない:7Wへ。高く上げて着地角で止める。
OK/NG早見表(FWとUTの使い分け)
| 行動 | OK/NG | 理由 |
|---|---|---|
| フェアウェイ平坦=FW/特に5W・7W | OK | 高く上げて止めやすい |
| ラフ・傾斜=UTへ切替 | OK | 短尺でミート率◎、抜けも良い |
| 逆風はUTで中弾道 | OK | 吹き上がりを抑える |
| 被り番手(3WとUT19°)を敢えて残す | OK | 状況別の“選択肢”になる |
| 深ラフから3Wで強行 | NG | 抜け悪く大ミスの温床 |
| ロングパー3で無理にUT低弾道 | NG | 止まらない。7Wで上げて止める |
現場の60秒フロー(迷ったらこれ)
- 10秒:ライ確認(フェアウェイ/ラフ/傾斜)。
- 15秒:風と狙い(高く止める/低く運ぶ)を決める。
- 15秒:フェアウェイ=FW、ラフ/傾斜=UTを基本に番手選択。
- 10秒:花道 or 得意距離へレイアップも選択肢。
- 10秒:コンパクト素振り→実行(プレーファスト)。
よくある質問(FAQ)
- Q. 3WとUT19°が被ります。どちらを入れる?
- A. 両方入れてOKです。フェアウェイ=3W、ラフ/風=UTと棲み分けすると成功率が上がります。
- Q. 7WとUT22°はどちらがやさしい?
- A. 7Wは上がりやすく止めやすい、UT22°はミート率と方向性に優れます。狙い方で選んでください。
- Q. ロングパー3でグリーンに止まりません。
- A. 7W/5Wで高めのキャリー→着地角を作ると止まりやすいです。
- Q. 逆風で距離が足りません。
- A. UTで中弾道に。ボール位置少し右、スリークォーターで回転を抑えると効果的です。