砲台グリーン(高台グリーン)は、打ち上げでキャリーが不足しやすく、手前の傾斜で戻されるリスクが高いのが難点。
この記事では、番手をケチらないことと、段上(クレスト)へキャリーで運ぶという2大原則を中心に、落とし所の歩数設計、ティーからの逆算、ホール別の攻め方まで実戦的にまとめます。関連の「フォルスフロント」や「手前から」とも組み合わせてお読みください。
目次
まず結論(30秒サマリー)
- 番手はケチらない:打ち上げ=+1〜2番手を基本に、風とライでさらに補正(風・高低差)。
- 段上にキャリー:手前の傾斜やフォルスフロントで戻されないよう、クレスト(段の頂点)を越えてすぐに落とす。
- 落とし所は“段上+浅め”:速い/硬い面=クレスト+2歩、遅い/柔らかい面=+3〜4歩が目安。
- ティーから逆算:砲台にフル〜スリークォーターで届く得意距離を残す。中途半端(40–60y)を避ける。
- 寄らなくてOK:端ピンは追わずセンター+安全サイドで2パット設計(安全サイド)。
砲台グリーンが難しい理由
- 打ち上げでキャリー不足(見た目より届かない)。
- 手前が下り・返し傾斜になっていて、戻されやすい(フォルスフロントを伴うことも)。
- 風の影響が強い(高台ほどフォロー/アゲインストの差が増大)。
- ランが読みづらい(上ってから平坦に乗るため、転がり量が不確実)。
対策は「番手で高さとキャリーを確保し、段上に浅く落とす」。高さで“止める”より、落とし所の精度を優先します。
段(クレスト)の見極めと落とし所の歩数設計
まずは段の頂点(クレスト)を特定します。芝の色・刈り目の切り替わり、影、横からの見た目で稜線を確認。
- 落とし所の基準:
クレスト+2歩(速い/硬い面は+2歩、遅い/柔らかい面は+3〜4歩)。 - 風補正:フォロー−1歩/アゲインスト+1歩(目安)。
- 傾斜補正:段上が上り=+1歩、下り=−1歩。
フォルスフロントを伴う場合は、専用ガイドのとおりさらに浅く(エッジ寄り)でOK。
番手・弾道の決め方(ケチらない+過度に上げない)
- 番手:打ち上げと風で+1〜2番手を基本に、状況で追加。ケチると段手前で戻るのが最悪。
- 弾道:“高すぎるアプローチ”は弾んでオーバーの恐れ。スリークォーターで入射を安定、必要最小限の高さで段上へ。
- 寄せの番手:AW/PW中心。トゥ寄り薄当てで初速を抑え、短く転がす(転がし寄せ)。
ティーからの逆算:得意距離を残す
砲台は中途半端距離(40–60y)が難度高。ティー/セカンドでフル〜スリークォーターの得意距離(100/90/80yなど)を残します。
- 狭いホール:無理せず置き場所>飛距離で、次に段上へ届く角度を確保(狭いホール戦略)。
- ドッグレッグ:コーナー突き抜けを避け、広いゾーンに刻む(ドッグレッグ攻略)。
- パー5:2オン狙いより、レイアップで3打目勝負。砲台は上からの寄せが肝。
ホール別の攻め方
パー3(砲台)
- 番手を上げる:打ち上げ+風で+1〜2番手。ピン直よりセンターで2パット設計(詳細)。
- 落とし所:クレスト+2歩(面が速い日は+2歩、柔らかい日は+3歩)。
パー4(砲台奥ピンが多い)
- ティー:フェアウェイの好サイドへ。ラフからの砲台直狙いは再現性が低い。
- セカンド:センター手前基準。奥NGで“奥からの下り”を残さない。
パー5(砲台を3打目で狙う)
- 2打目:広いところに刻んで得意距離を残す。
- 3打目:クレスト+2歩へ浅めキャリー。端ピンは追わない。
打ち分けの選択肢(使い分け)
- 基準球:AW/PWのスリークォーターで段上に浅く落とす(クレスト+2歩)。
- 面が遅い/柔らかい:落とし所を+1歩奥へ。9Iでランを少し増やすのも有効。
- フォルスフロント強め:“フォルスフロント攻略”に準拠。さらに浅く(エッジ寄り)で球足短く。
- リスク過大:必要キャリーが長い+下り強=サイド逃げ or 横出しで被害最小。
よくあるミスと修正の型
- (ミス)番手をケチって段手前→戻る → (修正)+1〜2番手でクレスト越えを最優先。
- (ミス)高い球で“止めに行く”→弾んでオーバー → (修正)必要最小限の高さで浅く落とす。
- (ミス)端ピンを追ってショートサイド → (修正)センター+安全サイド固定。
OK/NG早見表(砲台編)
| 行動 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| +1〜2番手で段上へキャリー | OK | “戻り”を断つ最優先事項 |
| 落とし所=クレスト+2歩(面で±) | OK | 浅く低く着地→短く転がす |
| 砲台へ中途半端な距離を残す | NG | 得意距離を残す逆算が安全 |
| 高い球で“止めに行く” | NG | 弾んでオーバー→奥からの下りに |
| 端ピン直狙い | NG | ショートサイド化。センター基準でOK |
60秒フロー(現場用の台本)
- 10秒:段(クレスト)と面の速さ・幅を確認。
- 15秒:落とし所=クレスト+2歩(速い/硬い=浅く、遅い/柔らかい=深く)。
- 15秒:番手=+1〜2番手。風・高低差で歩数/番手を微調整。
- 10秒:狙いはセンター+安全サイド固定(端ピンは追わない)。
- 10秒:スリークォーターで実行(プレーファスト)。
よくある質問(FAQ)
- Q. どれくらい番手を上げれば良い?
- A. まず+1〜2番手を基準に。打ち上げが強い・アゲインストが重なる場合はさらに上げる選択も。
- Q. ランで登らせる発想はアリ?
- A. 段手前が下り・返し傾斜なら戻りやすくNG。段上へキャリーが基本です(フォルスフロント参照)。
- Q. 砲台でスピンはどれくらい意識する?
- A. “スピンで止める”より落とし所。必要最小限の高さで浅く落とし、球足短く整える方が再現性が高いです。
- Q. 端ピンでもバーディを狙いたい。
- A. まずはセンターでOK。ショートサイドを避ければパーが増え、平均スコアが安定します。
- Q. ラフから砲台を直接狙うのは?
- A. 再現性が低いので、花道>転がし寄せのルートを優先(花道活用)。