ギブアップ(「拾う」)は、そのホールのプレーを途中で終えてボールを拾い上げて次へ進む運用です。初心者のラウンドでは現実的に必要な場面がありますが、スコアの書き方がバラバラだったり、勝手に拾ってしまうと揉めやすいポイントでもあります。
このページでは、初心者〜中級アマチュアが迷わないように、実務の手順→OK/NG→判断フロー→チェックリスト→FAQの順で台本化しました。結論は「最大打数を先に決める」「拾う前に一言」「スコアは最大打数で書く」です。
ギブアップとは
30秒で要点
- ギブアップ=そのホールは途中で打つのをやめて拾うこと。
- 使うならラウンド前に最大打数(何打で打ち切るか)を決めておく。
- 拾ったらスコアは最大打数で記入する(空欄や「×」だけは集計で困りやすい)。
- 揉めないコツは、拾う前に「このホールは最大◯で拾います」と一言添えること。
注意(スコアを厳密に出す日)
コンペやスコア提出など「今日はスコアをきちんと扱う日」の場合、ギブアップの扱いで困ることがあります。迷う日はホールアウトで統一するか、主催・同伴者の方針に合わせてください。
判断に迷うときの拠り所は、まずこちらです。
何打でギブアップする?最大打数の決め方
「何打で拾うのが正解?」に唯一の答えはありません。大事なのはグループ内で統一して、進行と公平性のバランスを取ることです。
初心者におすすめの“揉めにくい”決め方
- 迷ったら「ダブルパー(パー×2)」:シンプルで説明しやすい
- 進行が詰まりそうならパー+3など少し厳しめに
- スコア重視の日はギブアップなし(ホールアウト)
| 方式 | 最大打数の決め方 | 例(パー3/4/5) | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ダブルパー | パー×2 | 6 / 8 / 10 | 覚えやすい、初心者でも説明しやすい | 混雑日はまだ長いことも |
| パー+3 | パーに3打足す | 6 / 7 / 8 | 進行が整いやすい | 初心者には少し厳しめ |
| 固定打数 | 全ホール一律で上限 | 例:9打まで | 計算いらず | パー3が不利/パー5が有利になりやすい |
| ギブアップなし | 最後までホールアウト | — | 最も明確でスコア比較が公平 | 混雑時は進行が厳しくなることも |
拾うタイミング(遅いほど迷惑になりやすい)
- 最大打数が近づいたら、次の1打で上限になるかを確認
- 上限に達したら、その場で拾って次へ(「あと1回だけ…」が渋滞の原因)
- 同伴者が先に打てる状況なら「先に打ってください」と伝える(Ready Golfの考え方)
スコアカードの書き方(集計で困らない形)
基本は「最大打数」を書く
ギブアップしたホールを空欄にしたり、×だけにすると、合計が出せずに困りやすいです。最初に決めた「最大打数」をそのまま書くのが一番スムーズです。
例:ダブルパー(パー×2)運用のとき
- パー4の最大打数=8。7打打っても入らない → 拾って8を書く
- パー3の最大打数=6。5打でまだグリーン周り → 拾って6を書く
OKパットとの違い(混同しやすい)
- OKパット:短いパットを「入った扱い」にして拾う → スコアは1打足す
- ギブアップ:そのホールを「打ち切り」で拾う → スコアは最大打数で統一
OKパットの記事もセットで読むと、拾う系の判断が一気に整理できます。
進行を乱さない実務手順(拾う前に言うこと)
手順(そのまま使える)
- 上限を確認:「このホール、最大は8(ダブルパー)だな」
- 拾う前に一言:「このホールは最大8で拾います」
- 同伴者を先に行かせる:「先に打ってください」
- 拾って素早く移動:クラブをしまい、次ホールの準備へ
- 次ホールで切り替える:引きずらず、ティーショットの段取りを整える
ひと言台本(角が立ちにくい)
「進行のため、このホールは最大8で拾います。先に打ってください」
接待や初対面の場で、言いづらいときの文面・言い回しは下にまとめています。
OK/NG早見表
| 状況 | ギブアップOK | ギブアップNG | 代替 |
|---|---|---|---|
| 混雑していて進行が詰まっている | 最大打数で拾ってテンポを守る | 「あと1回だけ」を繰り返す | 次ホールは刻む番手に変更 |
| 初心者が大叩きしそう | 事前に決めた上限で拾う | 上限が曖昧で毎回相談になる | ダブルパーで統一 |
| スコアを比較したい練習ラウンド | 上限を全員で統一して記入 | 人によって上限が違う | 上限を同じにする/ホールアウト |
| コンペ・スコア提出・真剣勝負 | 基本は採用しない(方針確認) | 自己判断で拾う | ホールアウトで統一 |
| 接待・初対面 | 開始前に上限ルールを確認 | 勝手に拾ってしまう | 「最大打数どうします?」を最初に |
現場で迷わない判断フロー(30秒)
- 今日はスコア重視? → 重視なら原則ホールアウト(主催方針優先)
- 最大打数は決まってる? → 決まってないなら「ダブルパーで統一」に寄せる
- 今、上限に近い? → 近いなら拾う準備(同伴者に一言)
- 後ろが詰まってる? → 詰まってるなら迷わず拾ってテンポ優先
- 拾う前に宣言:「このホールは最大◯で拾います」
チェックリスト
- □ ラウンド前に最大打数(上限)が決まっている
- □ 上限は全員同じ(人によって違わない)
- □ 拾う前に一言言う準備がある
- □ 上限に達したら迷わず拾う(“あと1回”を増やさない)
- □ スコアは空欄にせず、最大打数で記入する
初心者のラウンド全体をスムーズにする準備は、こちらも役立ちます。
よくある質問
- Q. 何打で拾うのがマナーですか?
「これが唯一の正解」はありません。揉めにくいのは、ラウンド前に最大打数を統一しておき、その上限に達したら拾う運用です。迷ったらダブルパーが説明しやすく、初心者にも優しい目安になります。
- Q. ダブルパーは厳しすぎませんか?
初心者にはむしろ“分かりやすい上限”として機能します。混雑している日は進行を優先してパー+3などにすることもありますが、まずは全員で統一することが最重要です。
- Q. ギブアップしたホールのスコアはどう書く?
最大打数を決めているなら、その数値を記入します。空欄や×だけだと集計できず、後で困りやすいです。
- Q. OKパットとの違いは?
OKパットは短いパットを「入った扱い」にして拾う運用で、スコアは1打足します。ギブアップはそのホールを打ち切るので、最大打数で統一して記入するのが実務向きです。
- Q. 拾うときはマークした方がいいですか?
ギブアップで拾うなら、基本は拾って次へ進みます(進行優先)。同伴者のラインを踏まない、打つ人の邪魔にならない位置にいる、といった配慮を優先してください。
- Q. 接待や初対面で拾うのは失礼?
無言で拾うのが一番まずいです。「進行のため、このホールは最大◯で拾います」と一言添えれば、むしろスマートです。言い回しは接待ゴルフ文面も参考になります。
- Q. コンペでギブアップしていい?
主催者の方針次第です。スコア提出が前提の場では、自己判断で拾うと扱いに困ります。開始前に最大打数運用の有無を確認するか、迷うならホールアウトで統一するのが安全です。
- Q. 悪天候でみんながバタバタしている日も同じでいい?
悪天候の日は進行が乱れやすいので、最大打数を明確にして拾う判断が助けになります。そもそもスタート可否や連絡が不安なら、直前キャンセル・悪天候の判断ガイドも確認してください。