花道(グリーン手前のフェアウェイ)を使った寄せは、ピンを“空中で”狙うより再現性が高く、ミス幅が小さい攻め方です。
この記事では、ティーショットから花道ルートを残す逆算、着地点=エッジ+2歩の基準、番手でランを作る方法、使えない場面の見極めまで、ラウンド中にすぐ使える形でまとめます。
まず結論(30秒サマリー)
花道を使えば「届かない・止まらない」を気にせず、手前から寄せ勝負にできます。要点は次の5つです。
- 逆算3手:①寄せの着地点(花道)→②セカンドの置き場所→③ティーショットの狙い。
- 着地点の基準:エッジ+2歩(状況で±1〜2歩)。
- 転がし優先:チップ&ランで、番手でラン量を調整(例:PW≈1:1、9I≈1:1.5、8I≈1:2の目安)。
- 使えない場面:手前下りの強い傾斜、深い前ラフ、クロスバンカー、池越えなど。
- 判断を小さく:端ピンは追わず、センター+安全サイド基準でOK。
なぜ花道が“効く”のか(確率のゴルフ)
空中でピンを“ジャスト”に落として止めるのは難度が高く、風・スピン・硬さで結果がブレます。対して花道は、
- 低く出して早く落とすため風の影響が少なく、
- フェアウェイの転がりが読めるので距離の再現性が高く、
- ミスしても大ケガになりにくい(ショートサイドを避けやすい)。
特に初心者〜100切りでは、“ピン直より、ルートで寄せる”方がトータルスコアに効きます。
逆算の置き場所設計:ティーから“花道ルート”を残す
花道を使うかどうかは、寄せの直前で決めるのではなく、ティーショットの時点から逆算しておきます。
- 寄せの理想ルートを先に決める
– 「花道のこの幅なら転がせる」「左奥は死んでいるから手前から」など。 - セカンドの置き場所を決める
– 花道にまっすぐ入れる角度が作れるサイド(右or左)にフェアウェイを確保。 - ティーショットでそのサイドを残す
– 狭いホールやドッグレッグではクラブを落としてもルート優先。
狙いを「ピン位置」ではなく“寄せルート”から逆算すると、判断がシンプルになります。
着地点の作り方:エッジ+2歩が基本線
着地点(キャリー)はグリーンエッジ+2歩を基準にし、傾斜・硬さ・芝の状態で±1〜2歩調整します。
- 速い・硬い:エッジ+1歩(さらに手前も)。
- 遅い・柔らかい:エッジ+3〜4歩。
- 上りライン:+1歩。下りライン:−1歩。
- フォロー:−1歩。アゲインスト:+1歩(風の読み方)。
着地点が決まれば、あとは番手でランを作るだけ。距離感はテンポ一定を最優先(距離感)。
番手でラン量をコントロール(目安)
以下は“花道からフェアに転がる”前提の目安です。芝・硬さで変動する点はご承知ください。
| クラブ | キャリー:ラン(目安) | 使いどころ |
|---|---|---|
| PW | 1:1 | 花道が短い/手前は安全・奥がNG |
| 9I | 1:1.5 | 標準的。エッジ+2歩基準に合いやすい |
| 8I | 1:2 | 長めに転がしたい(速い面・フォロー) |
| 7I | 1:3 | 強い上りや、花道が長いとき |
花道が短ければ高め(PW)、長ければ低め(8I〜7I)で“同じ着地点”に落とすイメージです。
花道を“使わない”判断(NGパターンの見極め)
次のような場面では、無理に花道を使わず別解を選びます。
- 手前が強い下り(いわゆるフォルスフロント):戻されやすい → キャリーを増やすか、外へ逃がす。
- 深い前ラフ/段差:転がりが切れる → 少し高めに落として手前から。
- クロスバンカー・池越え:花道が遮断 → 安全サイドへレイアップ(レイアップ戦略)。
- 極端に狭い花道:左右のミスが即ショートサイド → センター高めで安全に。
ホール別の活用法
花道発想は全ホールで使えますが、形状に応じて強弱をつけます。
パー3:端ピンを追わない“センター→転がし”
パー3戦略のとおり、端ピンは追わずセンター基準。乗らなくても、花道から寄せ勝負に切り替えます。
パー4:セカンドで“花道角度”を作る
ティーでフェアウェイの好サイドに置き、セカンドはセンター手前狙い。外したら花道から転がしでOK。
パー5:3打目勝負の花道設計
2打目は広いゾーンに刻み、3打目は得意距離(100/80/60yなど)を残す(詳細)。花道を通す角度で置ければ最高です。
ミニ事例:こう考える
例1:グリーン手前が平坦、右端ピン、左は安全
ピン直はショートサイドが怖い。センター手前着地→左から花道経由で転がし。番手は9I(1:1.5)が基準。
例2:手前が強い下り、花道は短いが固い
転がしは戻される。PWで少しキャリーを増やしつつ、エッジ+1歩へ低く落として止める。奥が死んでいるなら、さらに着地点を手前に。
OK/NG早見表(花道編)
| 行動 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| ティーから“寄せルート”を逆算して置く | OK | ルート起点にすると判断がブレない |
| 着地点=エッジ+2歩(±1〜2歩で調整) | OK | 風・硬さ・傾斜で微調整。テンポ一定 |
| 番手でラン量を作る(PW→短、7I→長) | OK | 同じ着地点に落としても距離を合わせられる |
| 手前が強い下り・深い前ラフでも転がす | NG | 戻される/止まらない。別解へ切替 |
| 端ピンに空中で“ジャスト”を狙い続ける | NG | ショートサイドで大ケガ。センター基準に |
60秒フロー(花道ルートの決め方)
- 10秒:グリーン手前の傾斜・硬さ・前ラフをチェック(使える?)。
- 15秒:着地点=エッジ+2歩(状況で±1〜2歩)。
- 15秒:番手でラン量を決定(PW/9I/8I/7I)。
- 10秒:狙いはセンター+安全サイドに固定。
- 10秒:テンポ一定で実行(迷い直さない)。
よくある質問(FAQ)
- Q. 花道が狭い・傾斜が強いときは?
- A. 無理に使わず、センター高めで手前から止めるか、外へ逃がす設計に。ショートサイド封印が最優先です。
- Q. 前ラフが重くて転がらないときは?
- A. ライ読みで「沈み+逆目」ならキャリー多めに。番手は1つ立て、着地点はエッジ+3〜4歩まで前進を検討。
- Q. どの番手を基準に練習すべき?
- A. まずは9IとPWで“エッジ+2歩”に落とす練習が汎用的。距離が伸びたら8I→7Iへと拡張します。
- Q. 風・高低差の補正は?
- A. 風はフォローで−1歩、アゲインストで+1歩を目安に。高低差は打ち上げ/下ろしの基準に従ってください。
- Q. “ショートサイドに外した”ときの最善は?
- A. 無理せず横出し→花道からの寄せに切替。詳しくはショートサイド対策を参照。