打球事故、クラブ破損、転倒、ホールインワンの祝賀費用…。
「ゴルファー保険」「ゴルフ保険」「レジャー保険(1日型)」など名称は様々ですが、補償の柱は4つに整理できます。
本記事は、補償範囲の違いや対象外になりやすい注意点、選び方のチェック項目、事故時の実務台本を“現場で迷わない”粒度でまとめました。実際の加入・請求は各社約款・条件が最優先です。
目次
まず結論(30秒サマリー)
- 柱は4つ:①個人賠償責任(対人/対物) ②携行品損害(自分のクラブ等の破損・盗難) ③傷害(死亡・後遺障害/入院/通院) ④ホールインワン/アルバトロス費用(祝賀費用など)。
- 対象外の代表:故意・重大な過失、置き忘れ、磨耗・腐食、練習器具の自然故障、業務中やプロ競技、借りた物(契約により取扱い異なる)。
- 選び方の鍵:個人賠償は高額枠+示談対応の有無、携行品は対象物・上限・自己負担、傷害は入通院の単価、HIOは支払い条件(証憑/コース要件)を確認。
- 重複注意:火災保険の個人賠償特約やクレカ付帯があると、ゴルフ専用で二重になることも。既契約を先に確認して不足分を補う。
補償の4本柱(違いと注意点)
① 個人賠償責任(対人/対物)
- 例:打球が他人に当たりケガ/隣ホールの人の持ち物を壊す/コース設備や窓ガラスを破損。
- ポイント:示談交渉サービスの有無、国内外どこまで対象か、同居家族の範囲、借りた物が対象かを確認。
- 除外しやすい:業務中の行為、故意・重大な過失、カート運転に起因する車両損害(扱いは契約ごとに異なる)。
② 携行品損害(ゴルフクラブ等の破損・盗難)
- 例:スイング中にシャフト折損/キャディバッグの盗難/宅配中の破損(取扱は契約・運送約款による)。
- ポイント:対象物にクラブ/距離計/時計が含まれるか、1個あたり・1事故あたりの上限、自己負担額(免責)、購入価格・時価どちら基準か。
- 除外しやすい:置き忘れ、自然の消耗・摩耗、故障、不明損害(原因不明)、レンタル品(契約により扱いが分かれる)。
③ 傷害(死亡・後遺障害/入院・通院)
- 例:転倒による骨折・捻挫、熱中症、落雷による傷害など。
- ポイント:ラウンド中/練習中/往復移動のどこまで対象か、通院・入院の支払単価、手術給付の有無。
④ ホールインワン/アルバトロス費用
- 例:祝賀会や記念品・証明書発行・記念植樹などの実費。
- ポイント:公認コース要件、同伴競技者の署名、スコアカード/領収書など支払い条件の明確化。ショートコース不可や練習ラウンド不可等の条件も。
“既契約”の重複に注意(先に棚卸し)
- 火災保険の個人賠償特約:日常生活の賠償を広くカバーするケースあり(家族型/国内外/示談対応の有無)。
- クレジットカード付帯:ショッピング保険・携行品特約・国内外旅行傷害など。対象外や期間制限が多いため条件を要確認。
- 1日型レジャー保険:ラウンド日だけ付けられるタイプも。賠償上限・携行品対象を必ずチェック。
選び方(チェックリスト)
- 賠償の上限とサービス:高額枠(例:1億円以上等)と示談対応の有無。
- 携行品:ゴルフクラブ等が対象に含まれるか/1事故・1個の上限/自己負担額。
- 傷害:入院・通院の支払単価、対象範囲(プレー/練習/往復)。
- HIO費用:上限額、適用条件(コース要件、証憑、同伴者署名)。
- 家族範囲:同居/別居の未婚の子 等が対象か。
- 国内外:海外遠征・旅行中の練習/ラウンドも対象か。
- 保険料:年額/日額のどちらが自分に合うか(ラウンド頻度で最適化)。
ありがちなケースと当てはめ
- 打球が他人に当たり、通院が発生
- 個人賠償の対象。まずは救護・報告・連絡(下記フロー)。勝手な示談や現金手渡しは避ける。
- 自分のドライバーが折れた
- 携行品の対象になり得る。事故状況・購入時期・レシート/時価など証憑が必要。磨耗・自然故障は対象外が一般的。
- 練習場のガラス/掲示を割った
- 個人賠償の対象。施設側の保険・免責との調整が入ることがある。
- ホールインワンを達成した
- HIO費用。スコアカード・同伴者署名・領収書など条件を満たす形で準備。
事故が起きたときの“実務台本”
- 救護・安全確保:プレー中断→負傷者の救護→コース係員へ連絡。
- 記録:日時・場所・ホール・当事者・目撃者連絡先・状況(距離/風/位置関係)をメモ。写真も。
- 医療:必要に応じて受診。診断書・領収書を保管。
- 保険会社へ通知:証券番号・事故状況を連絡。自己判断の示談はしない(示談対応がある場合は委ねる)。
- 後処理:再発防止(打球方向の確認・声出し・Ready Golfの徹底)。
OK/NG早見表
| 行動 | OK/NG | 理由 |
|---|---|---|
| 既契約(火災/クレカ/1日型)の棚卸し→不足分だけ加入 | OK | 重複を避けて合理化 |
| 賠償は高額枠+示談対応を優先 | OK | 高額事故・交渉のリスクに備える |
| HIO費用の条件(証憑/コース要件)を事前確認 | OK | いざという時に不支給を防ぐ |
| その場で現金を渡して示談 | NG | 後日トラブルや補償対象外の恐れ |
| 置き忘れ・紛失の申告(原因不明) | NG | 携行品は対象外になりやすい |
加入前チェックリスト
- [ ] 個人賠償:上限(円)/示談対応(有・無)/家族範囲()
- [ ] 携行品:対象物(クラブ/距離計 等)/上限(円/1事故・1個)/自己負担(円)
- [ ] 傷害:入院(円/日)・通院(円/日)・対象範囲(プレー/練習/往復)
- [ ] HIO:上限(円)/コース・証憑条件()
- [ ] 既契約の重複有無(火災特約/クレカ/1日型)
- [ ] 国内外の適用範囲(海外ラウンド有無)
よくある質問(FAQ)
- Q. 1ラウンドだけ加入できますか?
- A. 1日型のレジャー保険等で付けられる商品があります。賠償上限・携行品対象を必ず確認してください。
- Q. 家族も対象にできますか?
- A. 家族型が用意されている商品があります。同居/別居の範囲が商品で異なるため要確認です。
- Q. 海外のラウンドは?
- A. 商品により異なります。国内のみ/国内外の指定や、旅行保険との組合せが必要な場合もあります。
- Q. 中古クラブやセール品も携行品の対象?
- A. 原則は対象になり得ますが、支払いは時価やレシート/証憑が前提のことが多いです。
- Q. カート運転の事故は賠償対象?
- A. 取扱いが分かれます。施設の車両補償との関係もあるため、契約時に必ず確認しましょう。
※本記事は一般的な情報提供であり、特定の保険商品の勧誘・推奨を目的とするものではありません。
実際の補償可否や条件・金額は、必ず各保険会社の約款・重要事項説明書・最新の商品ページをご確認ください。