マリガンは、主にティーショットを「今のは無しで、もう1回打っていい?」という打ち直しの慣習です。初心者の緊張をほぐし、ラウンドの空気を良くできる一方で、合意がないまま使うと「ズルい」「スコアが比較できない」「進行が遅れる」と揉めやすいポイントでもあります。
このページでは、初心者〜中級アマチュアが同伴者とトラブルなくマリガンを扱えるように、実務の手順→OK/NG→確認フロー→チェックリスト→FAQの順で“台本化”しました。
マリガンとは
30秒で要点
- マリガンはグループ内の合意で成り立つ「打ち直し」の運用。
- 使うならラウンド開始前に「回数・対象(どの場面でOKか)・スコアの扱い」を決める。
- スコアをきちんと出す日(競技・提出・真剣勝負)ならマリガンは使わないのが安全。
- 揉める原因の多くは「勝手に打つ」「回数が増える」「人によって基準が違う」。
「打ち直し」との違い(ここが混同ポイント)
普段の会話では「打ち直し=マリガン」と言われることが多いです。ただし、スコアを厳密に扱う日やルールを前提にする場では、本来は“打ったものは打数に入る”のが基本です。
この記事は「普段ラウンドでのマリガン運用」を、揉めないように整理する目的で書いています。
マリガンが使える場面・使えない場面
使える(採用しやすい)場面
- 仲間内の練習ラウンドで、全員が「あり」に同意している
- 初ラウンド/久しぶりで、最初のティーショットが極端に緊張する
- 「今日はスコア比較を重視しない」と最初に決めている
使えない(避けたい)場面
- コンペ、公式寄りのラウンド、スコア提出、ハンディを意識する日
- 初対面・接待で、相手の方針が不明なまま
- 進行が詰まっていて、マリガンで待ちが発生しそう
迷ったら「今日はホールアウトやスコアを大事にする日か」を優先して判断してください。ルール全体の整理が必要なら、まず下のハブが最短です。
マリガンの実務手順(回数・対象・宣言)
マリガンは「打つこと」より、先に決めておくことが9割です。ここを台本どおりにすると揉めません。
ラウンド前に決める3点(必須)
- 回数:例「1人1回まで」または「最初のティーショットだけ1回」
- 対象:例「ティーショットのみ」「OBになりそうでも使える/使えない」
- スコアの扱い:例「エンジョイなので無料」または「マリガンは+1扱い」
| 運用タイプ | おすすめ度 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 最初のティーショットだけ | ◎ | 1番ホールのみ、1回だけ | 初心者・初対面が混ざる日 |
| 1人1回まで(ティーショット限定) | ○ | 前半/後半で1回など、回数を固定 | 仲間内の練習ラウンド |
| 何回でも(状況次第) | △ | その場の空気で増える | スコア比較しない完全な遊び |
宣言のタイミング(“打つ前”が鉄則)
- マリガンは打った後に勝手に決めない(揉める原因)
- 基本は同伴者に確認→宣言→打つ
宣言の台本(そのまま使ってOK)
「すみません、マリガン使ってもいいですか?(今日のルールだと○回目なので)」
スコアの数え方(ここを先に統一する)
マリガンの最大の揉めポイントは「スコアに入るの?」です。ラウンド前に次のどれかを選び、全員で統一してください。
| 方式 | スコアの付け方 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| エンジョイ(無料) | 打ち直し前は数えず、打ち直しの球からカウント | 気楽、初心者が楽しめる | スコア比較の公平性は落ちる |
| ペナルティ(+1扱い) | 打ち直しは「1打加算」してカウント | 比較しやすい、ズルい印象が出にくい | グループで運用を揃える必要 |
| スコア重視(マリガンなし) | マリガン自体を使わない | 最も明確で揉めない | 初心者の緊張は残る |
「今日はスコアを出す日」なら、マリガンを使わないのが最短です。初心者の不安が強い場合は、初ラウンドの準備と不安の減らし方も役立ちます。
接待・初対面で揉めない進め方(台本)
接待や初対面では「自分からマリガンを提案する」より、相手の方針を確認して合わせるのが安全です。
開始前の確認(角が立たない)
- 「今日はマリガン、ありで進めますか? なしで進めますか?」
- 「もしありなら、最初のティーショットだけにします?」
断りたいとき(スコアを大事にしたい)
- 「今日はスコアをきちんと出したいので、マリガンなしでお願いします」
- 「進行もあるので、基本はそのまま打数に入れていきましょう」
相手が使いたそうなとき(こちらが許可する)
- 「大丈夫です。今日は最初のティーショットだけ1回OKにしましょう」
- 「OKです。回数だけ先に決めておきましょう(1人1回までで)」
「言い回し」を増やしたい場合は、こちらにテンプレをまとめています。
OK/NG早見表
| 状況 | マリガンOK | マリガンNG | 代替 |
|---|---|---|---|
| 仲間内の練習ラウンド | 全員合意で回数・対象・スコア扱いが統一 | 人によって回数が違う/勝手に打つ | 「最初のティーショットだけ」に限定 |
| 初心者の初ラウンド | 1番ホールのみ1回、進行に配慮 | 毎ホール使う雰囲気になる | ティーショットは刻む番手に変更 |
| 接待・初対面 | 相手の方針を確認して合わせる | 自分から当然のように使う | 「今日はどうします?」を先に言う |
| スコア重視の日 | 基本は採用しない | マリガン混在でスコア比較が崩れる | ホールアウトで統一 |
| 混雑して進行が詰まっている | 原則なし | 打ち直しで待ちが出る | 準備を早めてプレーファスト |
現場で迷わない確認フロー(30秒)
- 今日の目的:スコア重視?練習?(スコア重視なら「なし」)
- 全員合意:「マリガン、あり/なしどっち?」を口に出して確認
- 回数と対象:最初のティーショットだけ?1人1回?ティーショット限定?
- スコア扱い:無料 or +1扱い(混ぜない)
- 宣言の約束:「打つ前に言う」を全員で共有
一言でまとめるなら
「回数・対象・スコアの扱いを最初に決めて、使うときは打つ前に宣言。」
チェックリスト
- □ 全員がマリガンの有無に同意している
- □ 回数(上限)が決まっている
- □ 対象(ティーショットのみ等)が決まっている
- □ スコアの扱い(無料 / +1)が決まっている
- □ 使うときは「打つ前に宣言する」と共有できている
- □ 進行が詰まっているなら、今日は使わない判断ができる
風雨で進行や判断が難しい日は、そもそもスタート判断や連絡が重要になります。
よくある質問
- Q. マリガンは何回までが無難ですか?
揉めにくいのは「最初のティーショットだけ1回」または「1人1回(ティーショット限定)」です。回数が増えるほど公平性と進行で不満が出やすくなります。
- Q. マリガンはいつ宣言すればいい?
基本は打つ前です。「今のは無しで」は揉めやすいので、「マリガン使っていいですか?」を挟んでから打ち直すのが安全です。
- Q. スコアはどう数えればいいですか?
事前に統一します。気楽に楽しむなら無料、スコア比較をするなら「+1扱い」が揉めにくいです。スコアを厳密に出す日ならマリガンなしが最も明確です。
- Q. 接待や初対面でマリガンを使っていいですか?
相手の方針が分からないまま使うのは避けましょう。開始前に「今日はマリガンあり/なし、どちらで行きますか?」と確認して合わせるのが安全です。
- Q. 同伴者が嫌がっている気がします。
その場合は使わないのが正解です。無理に合わせるより「今日はなしで行きます」と早めに統一した方が、空気もスムーズになります。
- Q. マリガンした球がOBっぽいとき、もう一回打っていい?
回数上限を超えると揉めます。上限を守り、次は刻む判断に切り替えるのが安全です。進行が心配なら、ルール入門ハブで基本の考え方を確認しておくと安心です。
- Q. 進行が遅くなりませんか?
マリガンは打数が増えるので、混雑時は遅れやすいです。混んでいる日は「1番ホールだけ」か「今日はなし」にして、準備を早める方が結果的にスムーズです。
- Q. 打球事故が心配です。
打ち直しで集中が切れると事故リスクも上がります。前方安全確認と声かけを徹底し、万一に備えるなら保険の整理もしておくと安心です。