ティーグラウンドに立った瞬間、左右が林・OB・池で「うわ、狭い…」と感じるホール。ここでいつもどおりドライバーを振り回してOB、という経験はないでしょうか。
狭いホールほど、飛距離よりもクラブ選択・狙いどころ・立ち位置で難易度が大きく変わります。この記事では、初心者〜100切りを目指すゴルファー向けに、狭いホールでのティーショットの考え方を整理します。
目次
まず結論(30秒サマリー)
- 狭いホールは飛距離ではなく「ペナルティを出さないこと」が最優先。
- ドライバー一択にしない。3W/UT/アイアンでフェアウェイ or 安全サイドに置くほうがトータルスコアは良くなりやすい。
- 危険側(OB・池・林)の反対を安全サイドと決め、そこに外れるようターゲットを取る。
- ティーイングエリアの左右・前後を使って、見える景色を「広く安全に」変える。
- 風が強い日や超狭いホールでは、低い球・刻みも選択肢(スティンガーショットや向かい風対策も参照)。
なぜ「狭いホール」が怖いのか
狭いホールでスコアが崩れやすい理由はシンプルです。
- ティーショットのミス=即ペナルティ(OB・池)になりやすい。
- ラフ・林からの2打目以降も難しく、1ホールで連鎖的にミスが出やすい。
- 「OBが怖い…」と感じると、力み・当てに行くスイングが出やすい。
つまり、狭いホールのティーショットは「どこに置くか」と「何で打つか」を決める段階でほぼ勝負が決まります。
考える順番:ハザード → 幅 → 風 → 自分のミス傾向
狭いホールで情報を全部見ようとすると混乱するので、次の順番だけ覚えておくと整理しやすくなります。
- ハザードの位置
– 左右にOB/林/池/バンカーはあるか。特に「即ペナ側」を確認。 - フェアウェイの一番広いゾーン
– どのあたりが幅が広く安全か。コーナー手前か、少し先か。 - 風の向き(風の読み方)
– アゲインスト/フォロー/横風で、どちらに流されやすいか。 - 自分のミス傾向
– スライスが多い/フックが多いなど、「典型ミスの方向」を把握。
いきなり「何番で打とう?」とクラブから考えると、ハザードや安全サイドの情報が抜けがちになります。
クラブ選び:ドライバー一択にしない
狭いホールでの最重要ポイントは、
- 「ドライバーでなければいけないホールはほとんどない」
という前提に立つことです。
クラブ選びの目安
- フェアウェイが非常に狭い+左右OB → 3W/UT/ロングアイアンも積極的に検討。
- 距離は短いが狭いパー4 → ドライバーを捨てて、UT or 5I〜7Iで刻んでもOK。
- OB側が片方だけなら、安全側に外れるクラブ(飛びすぎない番手)を選ぶ。
特に、100切りを目指す段階では、
- ドライバーでOB→打ち直しより、UTでフェアウェイキープ→ロングアイアンで刻むほうが平均スコアは良くなりやすいです。
「突き抜け」も忘れない
狭いホールでは、左右だけでなくコーナー奥への突き抜けも要注意です(特にドッグレッグは専用記事参照)。
- フェアウェイの奥にラフ・林・OBがある → そこまで届かない番手を選ぶ。
- 看板などで「◯◯yで突き抜け」とあれば、自分のキャリー+ランから確実に安全なクラブを。
ティーイングエリアの使い方:左右・前後を味方にする
狭いホールほど、ティーグラウンドの立ち位置で見える景色や安全度が変わります。
左右の使い方
- 左がOB/林 → 左端にティーアップし、フェアウェイ右寄りを狙う
→ スタンスから見た「安全側」が広く見える。 - 右がOB/池 → 右端にティーアップし、フェアウェイ左寄りを狙う。
前後の使い方
- 前寄り:ホール全体が長い/ハザードまでの距離に余裕があるとき。
- 後ろ寄り:突き抜けが怖い/距離を少し縮めたいとき。
ティーアップの基本ルール(ティーマーク間とその後方2クラブ以内)は、ティーショットのルールも参照してください。
安全サイドの決め方:どちらに外してOKか
狭いホールでは、まず「どちらに外してもいいか」を決めます。
- 左OB・右ラフ → 右OK/左NG。
- 右池・左ラフ → 左OK/右NG。
- 両側OB→「よりマシな方」+フェアウェイの最も広いゾーン。
そのうえで、
- 自分の典型ミス方向(スライス/フック)を、OK側に逃がすようターゲットを決める。
例:
- スライスが多い+右OB/左セーフ → フェアウェイ左サイドをターゲットに。
- フックが多い+左OB/右セーフ → フェアウェイ右サイドをターゲットに。
より詳細な「安全サイド」の考え方は、ピン位置と安全サイドの考え方も参考にしてください。
球筋別:スライサー/フッカー/ストレートの狙い方
スライサー(右に曲がりやすい人)
- 右がOB/池なら、クラブを落としてでも左サイド狙い+フェアウェイキープ優先。
- スライスを前提に、フェアウェイ左端〜ラフ左を狙っておくと「戻りしろ」が作れる。
- スライス改善を進めつつ、本番では「今は右に曲がる人」として戦略を立てる。
フッカー(左に曲がりやすい人)
- 左がOB/林のホールは要注意。右サイド狙いで逃げる。
- フックが出てもOKな右ラフ〜右フェアウェイをターゲットにする。
ほぼストレートだがミス方向が偏る人
- 練習・ラウンドで「ミスが多い方向」だけでも把握しておく。
- その方向が安全サイドになるよう、ターゲットを少し逆側にずらす。
風が強い/超狭いホールでの特別な対策
向かい風+狭いホールは、ドライバーを振り回すと事故が起きやすい状況です。
- アゲインスト:向かい風対策を踏まえ、低めの球+短めのクラブで刻む。
- 横風:風の読み方で、風上側に曲がり幅+風の押し分を見込む。
- 超狭いホール(視覚的プレッシャーMAX):
– ドライバーを捨てて、UT/ロングアイアン+低めのショット(必要ならスティンガーショット)を使うのも選択肢。
よくあるNGパターンと修正
| NGパターン | ありがちな結果 | 修正の考え方 |
|---|---|---|
| 「いつもドライバーだから」とそのまま振る | OB・池・林で1ペナ/打ち直しの連発 | ドライバー一択をやめる。3W/UT/アイアンでフェアウェイキープ重視に |
| 危険側と反対のティー位置を使わない | 危険側が視界に入り続けてビビりスイング | 危険側の反対端にティーアップし、狙いを安全サイド寄りにシンプル化 |
| 自分のミス方向を無視して真ん中だけ狙う | 典型ミスがそのままOB側に飛ぶ | 自分のミス方向が安全側になるようターゲットをずらす |
| 風が強いのに高い球+フルスイング | 風に流されて左右OB/手前ショート | 低めの球+コンパクトスイング+番手アップで風の影響を減らす |
| 林に入った後、無理にグリーンを狙う | 木に当ててさらに深いトラブル、トリ以上 | まずフェアウェイに戻すことを優先し、レイアップ戦略に切り替える |
60秒ティーショットルーティン(狭いホール版)
- ハザード確認(10秒)
– 左右&奥のOB・池・林・バンカーをチェック。「絶対行きたくない側」を一言で決める。 - フェアウェイ幅と安全サイド(10秒)
– どこが一番広いか、安全に外せる方向はどちらかを確認。 - 自分のミス方向(10秒)
– スライス/フックなど典型ミスを思い出し、安全サイドに逃がせるターゲットを決める。 - クラブ&ティー位置(20秒)
– ドライバーにこだわらず、飛びすぎないクラブを選ぶ。危険側と逆サイドにティーアップ。 - ショット(10秒)
– 「フェアウェイ or 安全サイドに置ければ100点」と決めて、いつものリズムで振る。
よくある質問(FAQ)
- Q. 狭いホールではドライバーを使わない方がいいですか?
- A. 「必ず使わない」ではありませんが、OBリスク>ドライバーのメリットなら3WやUTに替える価値があります。特に100切りを目指す段階では、ペナルティ回避が最優先です。
- Q. クラブを落とすと2打目が長くなって不利では?
- A. 2打目が長くなっても、OBで打ち直しになるよりは圧倒的にマシです。フェアウェイから3打目勝負に持ち込めるなら、トータルスコアは安定しやすくなります。
- Q. 狭いホールでいつも力んでしまいます。
- A. 「ここはフェアウェイにさえ置ければ100点」と目標を下げることが有効です。また、ドライバーのティーの高さや、プレショットルーティンを一定にすることで安心感が増えます。
- Q. スライスがひどいときの狭いホールはどうすれば?
- A. その日の傾向が「右に曲がる」なら、左半分をターゲットにしておき、右OB側を消す工夫が必要です。同時に、スライス改善も練習で進めると、長期的に選択肢が広がります。
- Q. 超狭いホールで「どこを狙えばいいか」本当に分からないときは?
- A. その場合は、一番広いフェアウェイゾーン+自分のミス方向が安全になるターゲットを探し、クラブを落としてでもそこを狙うのが現実的です。どうしても不安なら、コースマネジメントの基本に立ち返り、「ボギーでOK」に目標設定を下げるのも有効です。