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ゴルフの「ニアレストポイント(完全救済)」と「最大限の救済」の取り方|基準点の決め方・やりがちなミス

無罰救済を正しく取れるかどうかは、基準点=「ニアレストポイント(完全救済)」を正しく見つけられるかにかかっています。さらに、完全な救済がどうしても取れない場面では、「最大限の救済(Maximum Available Relief:MAR)」という次善策を使うことがあります。本記事では、区域別の原則現場での取り方テンプレNGになりやすい例までをテキストだけでわかりやすく解説します。

用語の整理|何がどう違う?

ニアレストポイント(完全救済)(Nearest Point of Complete Relief:NPCR
干渉(例:カート道や一時的な水(旧カジュアルウォーター)、修理地、スプリンクラーヘッド、サブグリーンなど)が完全に消える最も近い点。ホールに近づかないことと、区域の条件(GAならGA内、バンカーならバンカー内…)を満たす必要があります。

最大限の救済(MAR)(Point of Maximum Available Relief)
完全な救済が“存在しない”場面で、干渉が最も少ない点を基準に救済する考え方。主にバンカーとグリーンで使用します(後述)。

区域別の原則(ここを外すと誤所プレー)

救済のルールは区域ごとに要件が決まっています。まずはここを押さえましょう。

  • ジェネラルエリア(GA):ニアレストポイントはGA内。基準点から1クラブレングス以内(ホールに近づかない)にドロップ
    ※GAでは「完全な救済が取れないなら無罰救済なし」が基本。MARは使いません。
  • バンカー:ニアレストポイントはバンカー内で探し、取れない時はバンカー内でMAR。それでも困難なら1打罰で後方線上により外へ出す選択肢あり。
  • パッティンググリーン:ニアレストポイントはグリーン上またはGA。救済はプレース(置く)。完全な救済が取れないならグリーン or GAでMARを基準にしてプレース
  • ペナルティエリア(PA):原則としてACC等からの無罰救済なし。危険な動物のみPAの中で無罰救済可。外へ出すならPAの救済(有罰)

ニアレストポイント(完全救済)の取り方テンプレ

どの干渉でも基本は同じ。次の手順を覚えるとブレません。

  1. 干渉を特定:球・スタンス・スイング・(グリーン上は)ラインのどれに干渉があるか確認。
  2. 通常の向きで構える:右/左打ちを前提に、普段どおりのスタンスとスイング空間を確保してみる。
  3. 干渉が完全に消える最も近い点を探す(ホールに近づかない)。目印(ティー等)を置く=これが基準点
  4. 救済エリア=基準点から1クラブレングス以内ホールに近づかない範囲(区域要件を満たす)。
  5. ドロップ/プレース:GA・バンカーは膝の高さから真下にドロップ→救済エリア内に静止。グリーンはプレース

基準点の先がラフやディボットでも、最も近いならそこが正解。都合の良いライ選びは不可です。

最大限の救済(MAR)の使いどころ

完全な救済が“存在しない”ときだけ使います。代表例は次のとおり。

  • バンカーの広範な一時的な水:どこへ動かしても足が濡れる→バンカー内で最も浅い場所にドロップ(無罰)。なお、別途1打罰で後方線上によりバンカー外へ出す選択肢もある。
  • グリーン上の一時的な水がラインを横断:どこにも完全な救済がない→グリーン or GAで最も影響の少ない点を基準にプレース(無罰)。

GAでは「完全な救済がなければ無罰救済自体が取れない」ため、MARは使いません(別の救済や打ち方の工夫を検討)。

OK/NG早見表

状況OK/NGポイント
カート道(GA)でスタンスが乗るOK(無罰)ニアレストポイント→1クラブ以内ドロップ(GA内)
ニアレストポイントをフェアウェイ側に“選ぶ”NG最も近い」が原則。ラフ側でも最近接ならそこが正解
バンカーの水たまりで完全な救済不可OK(無罰)バンカー内でMAR→なお困難なら1罰で外へ
グリーン上で一時的な水がラインに常に干渉OK(無罰)グリーン or GAでMARプレース
PA内のACCから無罰救済で外へNGPA内は原則無罰不可。外へはPA救済(有罰)

ケースで学ぶ「基準点」の決め方

  • 右打ち・カート道に球が接する(GA):スイング空間とスタンスの両方が完全に道から外れる最も近い点を基準点に。フェアウェイ側よりもラフ側が近ければラフが正解
  • サブグリーン(誤グリーン)がスタンスに掛かる:ニアレストポイントはGA内で決め、1クラブ以内にドロップ。ラインが見えるだけは救済対象外。
  • グリーン上のスプリンクラーヘッドがラインに干渉:ニアレストポイント(グリーン or GA)を基準にプレース。完全な救済が無理ならMAR
  • バンカーで排水口や水溜りに干渉:まずはバンカー内でニアレストポイント→無理ならバンカー内でMAR→なお困難なら1罰で後方線上により外へ。

やりがちなミス(NG集)

  • 「近い」ではなく「良い」ライへ動かす×:ニアレストポイントは最短距離優先。ライの良し悪しは関係なし。
  • スタンスだけ干渉が残っている×完全な救済が要件。構え直して再確認。
  • グリーン上でドロップ×:グリーンの救済はプレース
  • GAで「完全な救済不可だからMARでOK」×GAにMARはない。無罰救済は不可。
  • PA内の球でACCから無罰×原則不可。危険な動物のみ「PAの中で」無罰。

判断フロー(基準点→救済エリア→再開)

  1. 干渉の確認(球/スタンス/スイング/グリーンのライン)。
  2. 区域の特定(GA/バンカー/グリーン/PA)。
  3. ニアレストポイントを決定(ホールに近づかず、区域要件を満たす最短点)。
  4. 救済エリア(1クラブ以内・近づかない)を測る。
  5. ドロップ/プレース(バンカー内は内、グリーンはプレース)。
  6. 完全な救済不可なら:バンカー/グリーン=MAR、GA=無罰救済不可を前提に別手段へ。

よくある質問(FAQ)

ニアレストポイントは必ずフェアウェイ側になりますか?
いいえ。最も近い点が原則です。ラフ側やディボットでも最近接ならそこが正解です。
グリーン上で一時的な水が広く、完全な救済が取れません。
最大限の救済(MAR)を使います。グリーン or GAで最も影響の少ない点を基準にプレースします。
GAで完全な救済が取れない時にMARを使えますか?
いいえ。GAにMARはありません。無罰救済は不可で、別の救済(有罰含む)やプレー方法を検討します。
PA内の球でスプリンクラーが邪魔。無罰で外へ?
できません。PA内は原則無罰救済不可。外へ出すならPAの救済(有罰)を使います。


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