パー5(ロングホール)は、「飛ばせるから得意!」という人もいれば、「刻み方が分からず毎回バラつく…」という人も多いホールです。
とくに初心者〜100切りを目指すゴルファーにとって大切なのは、「どこまで刻むか」=レイアップ地点の決め方。ここを感覚任せにしていると、毎回違う距離を残してしまい、アプローチやパットの難易度がバラバラになります。
本記事では、パー5ホールでレイアップ地点をどう決めるかをテーマに、2オン狙い・3オン狙いの判断軸から、残したい距離から逆算する考え方、ハザードを避ける安全サイドの取り方、ラウンド中に使える60秒フローまで整理します。
まず結論(30秒サマリー)
- パー5は「3打目勝負」のホールと考え、残したい距離から逆算してレイアップ地点を決める。
- 100切りレベルなら、100y・80y・60yなど「得意な距離」を1つ決め、そこに残すのが基本。
- ハザードの手前に刻むか越えるかは、「ミスしてもギリギリ越えない/届かない」を基準に判断。
- レイアップでも左右の安全サイドを意識し、ピン位置と安全サイドの考え方と同じように「絶対行きたくない側の反対」に外れる狙いを取る。
- 2オン狙いは「残り距離」「ライ」「ハザード」の3条件が揃ったときだけのボーナス扱いでOK。
パー5でスコアを作るには「3打目の質」がカギ
パー5は、一般的なアマチュアにとって次のような構造になっています。
- ティーショット:ドライバー or FWである程度前に進める。
- セカンドショット:まだ距離が残っているので、グリーンは狙いにくい。
- 3打目:ウェッジ〜ショートアイアンでピンを狙える“勝負どころ”。
つまり、パー5は「3打目をどれだけ打ちやすい距離・ライで迎えられるか」がスコアメイクのポイントになります。
ここでレイアップ地点を適当に決めてしまうと、
- 毎回中途半端な距離(45y、73yなど)が残る
- バンカーや池に届きそうな距離を打ってしまい、ハザードに入る
- 残りがショートサイドになり、難しい寄せが残る
といった形で、せっかくのパー5が「トラブルの宝庫」になってしまいます。
まず「残したい距離」を決める
レイアップ地点を決めるときは、まず自分が打ちやすい距離をひとつ決めておくのがポイントです。
おすすめの「残したい距離」の目安
- フルショットが得意:100y前後(PW・9Iなど)
- コンパクトなスリークォーターが得意:80y前後(AW・PW)
- 転がし寄せのほうが得意:50〜60yよりも、いっそ花道手前からチップ&ランも検討
ラウンド前や練習で、
- 「100yはこのクラブ」
- 「80yはこのクラブ」
という基準距離を持っておくと、パー5でのレイアップが一気に簡単になります。
レイアップ地点の決め方(簡易逆算)
残したい距離が決まったら、あとはホール残り距離との引き算でレイアップ地点を決めます。
例:残り 230y、100yを残したい場合
- 現在地点 → グリーンセンターまで230y
- 「100yを残したい」 → セカンドで打ちたい距離は130y
この場合、
- 130y前後を打てるクラブ(8I〜7Iなど)を選ぶ
- グリーン方向に130y狙いでレイアップする
という感じで、レイアップの距離が自然に決まります。
ハザードとの兼ね合い
もちろん、残り距離だけでなく、
- レイアップしたい場所の手前・奥にハザードがないか
- フェアウェイの幅・傾斜はどうか
もセットで確認します。
目安としては、
- ハザード手前に刻むなら「ミスしてもギリギリ届かない距離」
- ハザードを越えるなら「ミスしてもギリギリ越える距離」
を基準にすると、大叩きが減ります。
2オン狙いか3オン狙いかの判断軸
パー5で「行けそうだから2オン狙い!」と打ちたくなる場面もありますが、ここは条件を決めておくと暴走を防げます。
2オン狙いを選んでも良い条件(目安)
- 残り距離が自分の得意クラブで無理のない距離(例:残り190yをUTで届く人など)
- ライが良い(フェアウェイ or 軽いラフ)
- グリーン周りの危険が少ない(池やOBが近くない、手前は花道など)
それ以外は基本「3オン狙い」
上の条件が揃っていなければ、
- 無理にグリーンを狙わず、得意距離を残すレイアップに切り替える
のが安全です。特に、
- 池越えの2オン
- グリーン奥がOB
- 足元が傾斜(つま先下がり・左足下がりなど)
といった状況では、2オン狙いはリスクがリターンを大きく上回りがちです。
左右の安全サイドとレイアップの方向
レイアップといっても、ただ「前に打つ」だけではなく、左右どちらのサイドに置くかも大事です。
- 右サイドに池 → 左サイドが安全
- 左サイドにOB → 右サイドが安全
- 次打を打ちやすい方(平ら・ライが良い)を優先
この考え方は、ピン位置と安全サイドの記事のフェアウェイ版です。
「自分のミスの傾向」(プッシュスライス/引っかけなど)も加味して、
- 典型的なミスが出ても、まだ安全エリアに残る
ような方向をターゲットにすると、パー5でのOBや池が劇的に減ります。
よくあるNGパターンと修正例
| NGパターン | ありがちな結果 | 修正の考え方 |
|---|---|---|
| 2打目を「とりあえず届くところまで」打つ | 毎回違う距離が残り、アプローチがバラバラ | 残したい距離(100y・80yなど)を先に決めて、距離を逆算する |
| 池やバンカーの「ギリギリを越えに行く」 | 少しのダフリでハザードイン、大叩き | 確実に越える or 手前に刻むのどちらかにする。ギリギリ狙いは避ける |
| 奥OBなのに2オン狙いをやめない | グリーン奥からOB or 難しいアプローチ | 奥が“死んでいる”ときは3オン前提+手前に残すに切り替える |
| レイアップでも左右の安全サイドを考えない | レイアップしたつもりがラフや林へ | ハザード位置を見て、常に安全サイド(反対側)へ外れる狙いを取る |
| フェアウェイウッドで無理して叩きにいく | トップ・ダフリでほとんど前に進まない | UTやロングアイアンでレイアップし、3打目勝負の発想に切り替える |
100切りレベル向け「パー5の割り切り方」
100切りを目指す段階でのパー5は、
- ボギーでOK、ダボは避けたい
という前提で考えると、戦略がシンプルになります。
- ティーショット:OBだけは避けるクラブ・狙い方を優先(ドライバー一択にしない)。
- 2打目:得意距離を残すレイアップ + ハザードを確実に回避。
- 3打目:グリーンセンター+安全サイドに乗せて2パット狙い。
これだけでも、パー5での「トリプルボギー以上」はかなり減るはずです。
レイアップ地点の決め方:60秒フロー
- ホール全体の確認(10秒)
– ハザード位置(池・バンカー・OB)、フェアウェイの幅、グリーン周りの危険をざっくり見る。 - 残したい距離を一言で決める(10秒)
– 例:「このホールは100y残し」「80y残し」など。 - 現在地からの残り距離を把握(10秒)
– 残り距離 − 残したい距離 = レイアップで打つ距離。 - ハザードと安全サイドを確認(20秒)
– レイアップ地点の手前・奥にハザードがないか、安全サイドはどちらかを確認。 - クラブと方向を決めて実行(10秒)
– 打つ距離に合うクラブを選び、安全サイド寄りの方向をターゲットにショット。
よくある質問(FAQ)
- Q. パー5で「レイアップする勇気」が持てません。
- A. 2オン狙いはうまくいけば気持ちいいですが、失敗したときのダメージが大きい選択です。まずは「3オンして2パット=ボギーでOK」という目標をしっかり決めておくと、レイアップが“逃げ”ではなく戦略として受け入れやすくなります。
- Q. 得意距離がよく分かりません。
- A. 練習場やラウンドで、「PWでのフルショット」「AWでのスリークォーター」などを打ち比べてみて、ミスの幅が小さい距離をひとつ見つけるのがおすすめです。その距離をパー5の「残したい距離」として基準にしましょう。
- Q. フェアウェイウッドが苦手で2打目がいつも不安です。
- A. 無理にフェアウェイウッドを使わず、ユーティリティや長めのアイアンでレイアップしてもOKです。特に100切りレベルでは、「まっすぐ130y」を3回繰り返すほうが、飛んだり飛ばなかったりするよりスコアがまとまりやすくなります。
- Q. 風が強い日のパー5のレイアップはどう考える?
- A. 風の読み方を踏まえつつ、「風で±1〜2番手」のシンプル補正を使い、ハザード手前にしっかり刻むほうを優先しましょう。強風の日のパー5は、パーよりボギー狙いが現実的です。
- Q. レイアップしても3打目でミスしてしまいます。
- A. まずは「残している距離が自分にとって本当に得意か?」を見直してください。そのうえで、転がし寄せやライ読みなど、3打目以降の技術もセットで強化すると効果的です。