ゴルフは紳士・淑女のスポーツとして知られる一方で、ラウンド進行が遅くなると後続組に迷惑をかけるなど、ペースに関するトラブルも発生しがちです。
そこで近年、ゴルフ場や競技会が推奨するのが「プレーファスト(Play Fast)」という考え方。
「プレーファスト」とは、スムーズにプレーを進めるためのマナーやルールを徹底し、無駄な時間を減らすことにより、全体のラウンドペースを円滑に保とうという取り組みです。
本記事では、プレーファストの具体的な方法や意識すべきポイント、そしてプレーファストがもたらすメリットを解説します。
より快適なゴルフ環境を作り、仲間同士や他のプレーヤーとのトラブルを防ぐためにも、ぜひ押さえておきましょう。
1. プレーファストの意味と背景
「プレーファスト(Play Fast)」は英語で「速くプレーしよう」という意味を持ち、プレーのスピードアップを促すゴルフ業界の合言葉です。
ゴルフは1ラウンド18ホールを約4〜5時間かけて回るスポーツですが、スロープレー(進行が遅いプレー)が起きると、後続の組がスタートを待たなければならなかったり、コース全体が詰まったりといった問題が生じます。
こうした状況を改善し、全員が快適にラウンドできるように生まれたのが「プレーファスト」という考え方。
現在では多くのゴルフ場や競技会で、プレーファストを呼びかけるポスターや案内を見かけるようになりました。
2. プレーファストが推奨される主な理由
プレーファストがゴルフの現場で求められるのは、以下のような理由からです。
- スロープレーは後続組に多大な迷惑をかける:
待ち時間が長いとゴルフのリズムが崩れ、イライラや集中力の低下を招く。 - コースの運営効率が下がる:
一組あたりのラウンド時間が過度に長いと、全体の組数を捌ききれなくなり、ゴルフ場の収益にも影響。 - プレーヤー自身の疲労軽減:
不必要な待ち時間が減れば、スムーズにラウンドを進められ、体力やモチベーションを保ちやすい。 - マナーとエチケットの一環:
ゴルフは他プレーヤーへの配慮を大切にするスポーツ。速やかな進行もその一部。
3. 具体的なプレーファストのポイント
プレーファストを実践するには、ちょっとした心がけを積み重ねることが大切。以下のような点を意識すると効果的です。
- ティーグラウンドで素早くティーショット準備
– スタート時間前にクラブ選択やティーアップを済ませておく。
– 前の組が打ち終わったらすぐティーショット体勢に。 - 先に打てる人が準備でき次第打つ(Ready Golf)
– 「遠くから打つ人が優先」などの伝統的ルールもあるが、現代では準備できた人が先に打つ方式が推奨されていることが多い。
– 安全確認後、スムーズに行動。 - ショット後はできるだけ速やかに移動
– 同行者のショットを見守るのも大事だが、打ち終わったらクラブを持って歩き出すなど、次の行動へ素早く移る。
– カートがある場合は、すぐに乗り込み、後続組の邪魔にならないよう配慮。 - グリーン上での時間短縮
– パッティングラインの読みすぎや、過剰な素振りを控える。
– 次に打つ人の邪魔にならないように素早く移動。
– ボールマーク修正も早めに済ませる。 - スコア記入は次のホールで
– グリーン周りではなく、移動中や次のホールのティーグラウンドでスコアを付ければ、後続組の待ち時間が減る。
これらは細かい点ですが、1ショットにつき数十秒の違いが重なり合うことで、ラウンド全体の時間が大幅に変わるのです。
4. 注意したいNG行為
プレーファストの観点から見て避けるべき行動も、把握しておくと自分のゴルフマナーをより改善できます。
- 過度な素振り:
ショット前に何度も素振りを繰り返すと、後ろの組を待たせてしまう。
2〜3回の素振りで十分。 - 同伴者全員がショットを見るまで待つ:
危険防止のために視認は大切だが、全員が打ったら全員で移動ではなく、打ち終わった人から先に移動するなど柔軟に。 - スコアカードの記入をグリーン上や前のホールで行う:
グリーン上やホールアウト直後にスコアを書き込んでいると、後続組が待つはめに。
次のホールへ移動しながらスコアを付ける習慣を。 - ボール探しに時間をかけすぎる:
OBやロストボールなどを探す場合は最大でも3〜5分程度に留める。
見つからないときは諦めて暫定球で進行する。
これらの行為は「スロープレー」の典型例となりがちなので、意識的に排除したいところです。
5. ゴルフ場側の取り組み例
多くのゴルフ場でもプレーファストを促すため、様々な取り組みを行っています。
- 看板やポスターによる告知:
コース内やクラブハウスに「プレーファストをお願いします」といったメッセージや具体的な注意事項を掲示。 - スタッフによる巡回:
コースを巡回するスタッフが、スロープレーの組に声がけをしたり、助言を与えたりする。 - スタート時間の管理:
ティータイムを適切に設定し、詰め込みすぎを防止することで過度な渋滞を回避。
また、スムーズにスタートさせる誘導を徹底。 - GPSカートシステムの活用:
カートにGPSやタブレットを搭載し、組の進行状況を把握しやすくする。
詰まりそうなホールを事前に知り、スタッフが対応できる。
プレーファストはプレーヤーだけの努力ではなく、ゴルフ場運営側との協力が重要です。
6. まとめ
「プレーファスト(Play Fast)」は、ゴルファー同士が気持ちよくラウンドを進めるための大切なマナーであり、スロープレーを避けるためのキーワードです。
- ティーショットの準備や移動をスピーディーに
- Ready Golfの精神で、準備できた人が安全を確認して先に打つ
- グリーン上の過度な時間を削り、スコア記入は次のホールで
- ボール探しはほどほどにし、暫定球の活用を
こうした意識を持つことで、快適なラウンドが実現し、仲間や後続組とのトラブルを避けられます。マナーを守って楽しくプレーできるよう、次回のラウンドから「プレーファスト」をぜひ実践してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. プレーファストと安全確保は両立できる?
A.
速くプレーすることと安全を軽視することは別です。
危険防止のためには、打つ前に“Fore!”の掛け声をかける、同伴者の位置を確認するなど基本的なルールを守りながら、準備を無駄なく行うのがプレーファストの真髄です。
Q2. スコアカードの記入を次のホールで行うと、次のティーショットが遅れることになりませんか?
A.
次のティーイングエリアに到着後、まだ前の組がティーショット中などで待機時間がある場合に書くなど、タイミングを工夫してください。
自分のショットが回ってきたら、すぐ打てるように準備しておくことが大切です。
Q3. 同伴者がスロープレー気味で困っているときはどうすれば?
A.
いきなり注意するのではなく、提案ベースで「順番を変えようか」「準備できたら先に打って」など声かけをしてみましょう。
プレーファストのメリットを共有し、和やかに誘導するのがベストです。
Q4. 競技ゴルフでもプレーファストは推奨されていますか?
A.
はい。公式競技やトーナメントでもスロープレーはペナルティ対象となるケースがあります。
タイムパーや「タイムウォッチで進行をチェック」する仕組みを導入している試合も多く、プレーファストはますます重視されています。
Q5. 自分の組がスロープレーしていないか、客観的に知る方法は?
A.
ひとつの目安は、前の組との間隔が異常に空いていないかを見ることです。
同時に、後ろの組が近づいてきているようなら、ペースを上げる必要があるかもしれません。
GPS機能付きのカートやスタッフのアナウンスを参考にする場合もあります。
プレーファストはゴルフの魅力を高めるための重要なマナー。少しの工夫でラウンドがスムーズになり、みんなが快適にプレーできるようになります。
「迅速に、しかし安全に」を合言葉に、次回のラウンドからぜひ取り入れてみましょう!