プレーファストは「急ぐこと」ではなく、先回りの段取りと同時進行で“待ち時間を作らない”技術です。この記事では、ティーイングエリアからホールアウトまでの流れを、理由→具体行動の順に整理します。安全を最優先しつつ、同伴者に気持ちよくラウンドしてもらいましょう。
目次
プレーファスト3原則(これだけ覚えれば回る)
すべての局面は次の3原則に集約されます。これを軸に自分の動きを設計すると無駄が消えます。
- 先準備:「自分の番が来たら即打てる」状態まで先に整える。
- 同時進行:安全が確保できる範囲で、他の人と並行して準備を進める(レディゴルフ)。
- 次の一手:ショット後は“次にやること(移動・クラブ選択・ライン確認)”へ即移る。
ティーイングエリアの段取り
出遅れやすいのがスタート直後。ここでの段取りがそのホールの流れを決めます。構え始めてから考えるのではなく、前の人が打っている間に準備を完了させます。
- 1番手の人が構える前に順番・使用球・ティーの高さを決めておく。
- 2番手以降は、前の人の打球落下地点を必ず目で追って声かけ(紛失の3分対策)。
- 打ち終えたら、ボール確認→クラブ拭き→ヘッドカバー→移動を連続動作で。
- 安全が確保できれば、先に準備ができた人が打つ(レディゴルフ)を採用。
移動とカート運用
1ラウンドの時間の多くは移動です。カートの止め位置と降車のタイミングで体感時間が大きく変わります。カートに“座ってから準備”ではなく、移動中に次の一手を考えるのがコツ。
- カートは次打のボールの延長線上・安全側に止める(グリーンは出口側が基本)。
- 自分の番が近ければ、2〜3本(本命+前後の番手)を持って先にボールへ。
- 同乗者は先に降りて構える。カートを必要以上に待たない。
- 濡れ物や小物はポーチひとつに集約(ボール3・ティー3・マーカー・フォーク)。
フェアウェイ〜ラフの段取り
ボール地点に着いてから悩むと遅れます。到着前にライ・距離・風・傾斜の仮説を持ち、候補クラブを握っておくと決断が早くなります。
- 到着前に距離目安と番手候補を決め、1回の素振りで実行。
- 深いラフや林は、最短で戻すショットを即選択(無理をしない)。
- 紛失の可能性があれば暫定球を宣言して打つ(探すのは3分まで)。
- ディボットやターフの処理は素早く、周囲の安全確認→プレー再開へ。
グリーン周りとホールアウト
グリーンは待ちが発生しやすい場所。「見る→並ぶ→打つ」を重ねることで停滞を減らします。旗は立てたままでもOK、続けて打てそうならコンティニュアス・パッティングも有効です。
- アプローチが残る人は、先にグリーン出口側にカートを寄せておく。
- 他の人のラインを踏まない範囲で、自分のラインを先に観察。
- カップイン後は旗・ボール回収→出口へ移動までを連続動作に。
- 短い返しは安全を確認して続けて打つ(同伴者とアイコンタクト)。
レディゴルフ(安全最優先で“先に動ける人が動く”)
レディゴルフは「打順無視」ではなく、安全を前提に“準備できた人が先に”という合意です。ストロークプレーでは推奨される場面が多く、特にティーショット後のセカンドで効果大。
- 危険がないと判断できるときは、先に準備できた人からショット。
- 打順よりも、距離の近い人が先に準備→先に打つでテンポを作る。
- マッチプレーでは相手が打ち直しを要求できる場面があるため、事前に取り決めを。
トラブル時の“早回し”判断
迷いが遅れを生みます。あらかじめ方針を固定しておくと判断が速くなります。
- 紛失の恐れ:ティーショット直後に暫定球を宣言(探すのは3分)。
- ペナルティエリア:救済を迅速に選択(黄=打ち直し or 後方線上/赤=+横方向救済)。
- OB濃厚:無理に探さずストローク&ディスタンスで戻す。
- バンカー渋滞:待ち時間にグリーン側からパター準備(順番になったら即打てる)。
同伴者に喜ばれる気配り(速く・静かに・安全に)
速さと同じくらい大切なのが、静けさと視界の配慮です。小さな所作でラウンド全体の快適さが上がります。
- 他人のスイング・パット中の動作や音を抑える。
- 人のパットライン・視界に入らない立ち位置をとる。
- ショット結果に関わらず、声かけと視認の協力を習慣化。
- スマホはサイレント、必要時のみ素早く使用。
遅れやすい局面と対策(あるある集)
遅延の多くは「待ちながら何もしない」時間に生まれます。待ち時間こそ準備と観察に使いましょう。
- ティーボックス渋滞:風と落下地点の傾向を見て、番手候補を先に決める。
- 林の捜索長引き:最初から暫定球。見つからなければ即切替。
- グリーンで手間取る:最初の1人が旗役を担い、他の人は先にライン確認。
- カートのUターン:出口側に止める/1人は先に降りて準備。
チェックリスト(ホールごとに意識)
各ホールのスタート時に、この5つだけ思い出せば十分です。
- 先準備:使用球・番手・狙いを決めておく。
- 同時進行:準備ができた人から打つ(安全最優先)。
- 2〜3本持ち:迷いそうなら候補クラブを握って先へ。
- 出口側:カートは次の動線上に止める。
- 続けて打つ:短い返しはコンティニュアスに(安全確認)。
よくある質問(FAQ)
- レディゴルフはどこまでOK?
- ストロークプレーでは安全が確保できる範囲で推奨されます。打順より準備の早い人が先に打つなど、同伴者間で合意しておきましょう。
- 旗は立てたままでもいい?
- はい。状況に応じて立てたままでも、抜いてもOKです。プレーがスムーズになる方を選び、同伴者に一声かけましょう。
- 暫定球はいつ宣言する?
- 打球がOBや紛失の可能性があると感じたら、ティーイングエリアで「暫定球を打ちます」と宣言してから打ちます。
- 速く回ると雑になるのが心配。
- 速さ=雑ではありません。先準備・同時進行・次の一手に分けて、落ち着いて所作を揃えると、むしろショットのリズムも安定します。