前進4打(特設ティ/プレーイング4)は、主にOBやロストボールが発生しやすいホールでプレー進行を速めるために、コース(委員会)が採用するローカル運用です。一般的には、2罰打を加えて前方の特設ティや指定エリアから4打目としてプレーを再開します。競技では採用しないケースが多いため、当日の掲示が最優先。本記事では、使える条件と手順、スコア計算、暫定球との関係、ドロップゾーンとの違いまでをテキストだけで整理します。
前進4打とは(まず結論)
前進4打は、コースが採用しているときだけ有効なローカル運用です。OB(アウトオブバウンズ)やロスト(3分以内に見つからない)の際に、2罰打で前方から4打目としてプレーを再開できるようにするもので、スロープレー防止が目的です。
なお、ペナルティエリア(池等)に関しては、前進4打ではなくペナルティエリアの救済(1罰)を使います。
使える条件と使えないケース
迷ったときはスコアカード・クラブハウスの掲示・カート端末の文言を確認しましょう。採用状況や対象ホール、置き場所、打順などの指示が最優先です。
- 使える主なケース:ティーショットがOBまたはロスト/セカンド以降でも当該ホールの掲示が許容している場合
- 使えない主なケース:
手順(特設ティ型/ローカルルールE-5型)
前進4打は、運用の見た目が大きく分けて2タイプあります。実務上の動き方をまとめます。
① 特設ティ型(看板・前方ティから4打目)
- 当該ホールの特設ティ(Playing 4と表示)へ移動。
- 2罰打を加算して、そこから4打目としてプレー再開。
- スコアは「ティーショット1+2罰=3/特設ティからの1打=4打目」からカウント。
特設ティの位置・打順・利用条件はコース掲示が最優先です。
② ローカルルールE-5型(“前進4打的”ルール/2罰で前方にドロップ)
コースによっては、特設ティではなく、推定地点+フェアウェイ基準点を使って前方の広い救済エリアに2罰打でドロップして再開する運用を採用しています(俗に「前進4打的ルール」)。
この場合も、次のストロークは4打目です。具体的な基準点やドロップ範囲は掲示に従います。
スコア計算の基本(例で理解)
- 例1:ティーショットがOB → 前進4打を使用 → 特設ティから打つ1打目は4打目。その後、グリーンオン→2パットなら6。
- 例2:セカンドが林でロスト → 当該ホールが2球目以降の前進を許容 → 前進4打を使用 → 指定位置から次は4打目。
暫定球との関係(実務で迷いやすい)
前進4打の有無にかかわらず、暫定球は打ってOKです。実務では次の方針を覚えておくと迷いません。
- 暫定球を打つメリット:安全。結果的に原球がOB/ロストだった場合でも、その暫定球がインプレーとなり進行が速い。
- 原球がOB/ロストで、暫定球がインプレーのとき:暫定球で続行(ストローク&ディスタンス)。原球に対して前進4打(E-5)へ切替は不可。
- 暫定球も見つからない/OB:掲示がE-5型なら、その暫定球に対して2罰でE-5の処置を取れる場合があります(コース掲示に従う)。
いずれにせよ掲示の文言が最優先。迷ったら同伴者と合意し、マスター室に確認しましょう。
ドロップゾーン(DZ)との違い
ドロップゾーンは、ペナルティエリアやノープレイゾーン(NPZ)など特定の救済場面で、委員会が指定する救済場所です。
前進4打は、主にOB/ロスト対応の時短策で、2罰打で4打目から再開という考え方。DZは「救済場所」、前進4打は「救済の選択肢・手順」という性格の違いがあります。
OK/NG早見表
| 状況 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| コース掲示に「前進4打(特設ティ)」あり→利用 | OK | 2罰打を加え4打目で再開。掲示が最優先 |
| ペナルティエリアに入った(池に落ちた) | NG | 前進4打ではなく、PAの救済(1罰)を適用 |
| 競技(クラブ競技・公式試合)で前進4打を使う | NG | 多くは不採用。当日の競技条件に従う |
| 暫定球を打っておく | OK | 結果的に原球がOB/ロストなら暫定球で続行 |
| 暫定球がインプレーだが、原球に対して前進4打に切替 | NG | 暫定球がインプレーになったらその球で続行 |
実戦ケースと進行のコツ
- ティーショットが林に消えた:暫定球を宣言して打つ→前進後に原球が見つからなければ暫定球で続行/掲示の特設ティがあれば前進4打も検討。
- 特設ティが100yd付近:2罰で4打目。パー5ならまだパーが狙える距離設計もあり。打順・安全に注意。
- グリーンが詰まり気味:同伴者に「前進4打にします」と宣言。前進中に同伴者が2打目、到着後すぐにプレーできるよう準備。
判断フロー(掲示→条件→手順→再開)
- 掲示確認:採用有無/対象ホール/特設ティ or E-5型/注意事項。
- 状況判定:OB/ロストか? PAやアンプレアブルではないか?
- 方針決定:暫定球を打つ? それとも前進4打へ直行? 同伴者と共有。
- 手順実行:特設ティなら2罰加算→4打目。E-5型なら掲示の基準点・救済エリアにドロップ(2罰)。
- スコア確認:4打目からのカウントで記入。ホールアウト後も誤記がないか二重チェック。
よくある質問(FAQ)
- Q. 前進4打はいつでも使えますか?
- A. いいえ。コースが採用しているときだけ有効です。掲示が最優先。
- Q. 暫定球を打った後でも、前進4打に切り替えられますか?
- A. 原球がOB/ロストで暫定球がインプレーなら、その暫定球で続行します。原球に対して前進4打へは切替不可です。暫定球も見つからない/OBの場合は、掲示がE-5型なら暫定球に対して2罰で処置できる場合があります。
- Q. ドロップゾーンと前進4打は同じですか?
- A. 目的が違います。ドロップゾーンはPAやNPZなど特定救済の場所指定、前進4打は主にOB/ロスト対策の時短運用です。
- Q. 競技で前進4打を使ったらスコアは有効?
- A. 競技では採用しない(無効)ことが多いです。競技条件を必ず確認してください。