林に打ち込んだあとの最善手は“横出し(パンチアウト)”が基本です。見た目より難しい“ヒーローショット”で木に当てれば、ペナルティや連鎖ミスで簡単に崩れます。
本記事では、角度×高さ×出口×ライの4軸で可否を即判定し、低いパンチと真横・斜め前の横出しを安全に実行する手順をまとめました。状況次第でのアンプレアブルの使いどころも解説します。
目次
まず結論(30秒サマリー)
- 林からは“最短で安全なフェアウェイに戻す”のが鉄則。角度・高さ・出口・ライの4軸で即判断。
- 真横 or 斜め前の横出しで十分。欲張らない=ボギーで止める最短ルート。
- 低いパンチはボール位置後方・ハンドファースト・コンパクトで出球低く。枝下を通す。
- 出口が無い/根や幹で危険/次打が作れない場合はアンプレアブルで仕切り直し。
- 仕上げは花道→転がし寄せで“上り”を残す(手前から)。
なぜ“横出し”が正解になりやすいのか
林の中は、枝・幹・根・落ち葉・不規則なライが重なり、クラブとボールの接点が不安定です。ここで木の間を狙う高難度ショットは、成功しても次打が中途半端になりやすく、失敗すればさらに林の奥やペナルティの可能性が上がります。
横出しは見た目は地味でも、“連鎖ミスを止める”という意味で最もスコアに効く選択です。
可否判定の4軸:角度×高さ×出口×ライ
到着したら、次の4軸を上から順にチェックして、最も安全な選択肢を取ります。
- 角度:狙う方向に枝のない“窓”が連続しているか。1つ見えても、その先が塞がれていないかまで見る。
- 高さ:枝下の可用高さは十分か(目安:出球が腰〜胸の高さ以下で通るか)。
- 出口:フェアウェイや花道に確実に戻れる“帯”があるか(戻った後の次打の角度も確認)。
- ライ:沈み/逆目、根・幹・落ち葉、斜面(左足上がり/下がり)で接点が安定するか。
いずれかが欠ける=横出し(真横または斜め前)が正解。4軸すべてOKでも、無理に前進距離を欲張らないのが原則です。
選択肢の使い分け(安全度の高い順)
- 真横の横出し:最も安全。フェアウェイ幅が広い帯へ角度優先で戻す。
- 斜め前の横出し:次打の角度が改善するなら採用。枝下の高さと出口の幅を再確認。
- 低いパンチで前進:枝下を腰〜胸の高さで通せるときだけ。距離は二の次。
- アンプレアブル:根や幹で危険/出口なし/次打が作れない時の撤退策。仕切り直しで被害最小。
打ち方:低いパンチ(Punch Out)の“型”
低い出球で枝下を確実に通すことだけに集中します。飛ばす必要はありません。
- クラブ:7I〜6Iが基準(立ちすぎないロフトで低く出す)。
- セットアップ:スタンス狭め、ボールは右足寄り(右打ち)、ハンドファースト強め、体重は左6:右4。
- フェース:わずかに被せる(開かない)。グリップは短く。
- スイング:コンパクト(9-3のイメージ)。打ち出し低く、フォローも低く。転がり前提。
- ターゲット:安全サイドに外れてOKの広い帯。花道に繋がればベスト。
打ち方:真横・斜め前の“横出し”
最短で安全ゾーンに戻す動作。方向性>距離で構いません。
- クラブ:8I〜PWなど、方向性が出しやすい番手。
- セットアップ:スタンス狭め、フェースはスクエア(被せすぎない)。
- スイング:小さく、まっすぐ押し出す。芝が薄い・根が見える場所は無理に打たない(怪我・破損防止)。
- 置き場所:次打で花道→転がしが選べる角度を作る。
ケース別:よくある“林”の状況と解法
枝が垂れて“窓”が低い
低いパンチでも難しい。真横へ横出し→花道から寄せ勝負。
出口にバンカー/池がある
出口の先のリスクは避ける。安全サイドに向きを変えるか、アンプレアブルで仕切り直し。
根や幹が近い/クラブが当たりそう
無理に打たない。クラブ破損・怪我のリスク。後方へ戻す選択やアンプレアブルで被害最小。
ラフが重く出球が殺される
ライ読みで沈み+逆目なら、番手を立ててコンパクトに。距離より角度と出口を優先。
前進できても次打が“木越え”になる
横出しの目的は「次打を平地・広い角度で打つ」こと。無理に前進せず、次の打ちやすさを優先。
段取り:プレーファストのコツ
- 2本持ち:林に入る前に横出し用+次打用を持参(例:7I+PW)。
- 役割分担:同伴者が打つ間に出口確認→位置決め(Ready Golf)。
OK/NG早見表
| 行動 | OK/NG | 理由 |
|---|---|---|
| 真横 or 斜め前に“確実な帯”へ戻す | OK | 連鎖ミスを止め、ボギーで収めやすい |
| 低いパンチ(出球=腰〜胸)で枝下を通す | OK | ヒーローショットより再現性が高い |
| 出口が無いのに前進を狙う | NG | 木に当ててさらに奥、ペナルティの連鎖 |
| 根・幹付近で強振する | NG | 怪我・破損リスク。撤退(横出し/アンプレ)へ |
| 次打の角度を作らず前へだけ出す | NG | また木越えが残り、連鎖しやすい |
現場の60秒フロー
- 10秒:角度(窓の連続)と枝下の高さを確認。
- 10秒:出口=フェアウェイ/花道の“広い帯”を決定。
- 15秒:横出し or 低いパンチ or アンプレアブルを選択。
- 15秒:クラブと構え(ボール後方・ハンドファースト・コンパクト)をセット。
- 10秒:Ready Golfで実行。次打の角度が作れていれば成功。
よくある質問(FAQ)
- Q. どれくらい低く出せば良い?
- A. 目安は腰〜胸の高さ以下で枝下を通ること。フォローを低く抑え、球足は短く。
- Q. どの番手が向いていますか?
- A. 方向性と低い出球を両立しやすい7I〜6Iが基準。真横の横出しは8I〜PWが扱いやすいです。
- Q. ペナルティでもアンプレアブルを選ぶべき場面は?
- A. 出口が無い/根や幹で危険/次打も木越えになる等、失敗のダメージが大きいときはアンプレで仕切り直しが賢明です。
- Q. 前進を少しでも稼ぐべき?
- A. 無理に稼ぐと角度が作れず連鎖します。まずは広い帯へ確実に戻す→花道設計で寄せ勝負に。
- Q. ラフが重く、当たり負けします。
- A. ライ読みで沈み+逆目なら、番手を立てて小さく強く。距離より出口と角度を優先しましょう。