雨の日のラウンドは、キャリーが落ちる・スピンがかかりにくい・グリーンが遅い/重いなど、普段どおりの番手と狙いでは噛み合いません。
本記事では、装備(レインウェア等)やルール解説ではなく、スコアを崩さないための“戦略”に特化。目標設定の見直しから、パー3・パー4・パー5別の組み立て、アプローチとパットの考え方、60秒ルーティンまで、ラウンド中に使える形でまとめます。
まず結論(30秒サマリー)
- 目標はベスト更新ではなく大叩きをしないに変更(ボギーペースOK)。
- ティーショットは飛距離より置き場所。ドライバー一択にしない(3W/UT/アイアンも選択)。
- セカンドはグリーンセンター+安全サイド狙い。端ピンは追わない。
- アプローチは転がし>上げるを基本に、着地点をいつもより奥に設定。
- パットはタッチ最優先。雨で遅い日は“届かせる”を合言葉に。
雨で何が変わる?(前提の共有)
雨天では、フェースとボールの間に水や芝が入りやすくスピンが落ちる一方、地面やグリーンの水分で転がりは遅くなる傾向があります。つまり「止まる/止まらない」の予測が難しくなりがち。細かく読み切るより、安全サイドに外れる設計に切り替える方が、ミスの幅を小さくできます。
スコアメイクの心構え:目標を下げて“守り”に寄せる
雨の日は全員がスコアを崩しやすい日。自分だけが悪いわけではありません。「ダボ以上を出さない」を第一目標に、攻める場面を絞り、リスクを取らない組み立てに徹しましょう。
ティーショットの戦略:番手と狙いどころ
フェアウェイが濡れるとランが読みにくく、左右のラフも重くなります。よって、
- ドライバー固定をやめる:狭い・横風・池絡みのホールはUT/3W/長めアイアンでフェアウェイ優先(狭いホール戦略)。
- 安全サイド:危険側(池・OB・深いラフ)の反対へ外れてOKのターゲット設定(安全サイドの考え方)。
- ドッグレッグ:コーナー突き抜けリスクは雨でも起こる。ドッグレッグ攻略どおり手前の広いゾーンに刻む。
セカンド&パーオン狙い:センター基準+番手ゆとり
濡れた地面ではダフリのリスクが増し、スピンも乗りにくい。番手はケチらず、グリーンセンターを基準にします。
ホール別の攻め方(雨天版)
パー3:ピンではなくセンター+安全サイド
雨の日は距離感が合いづらいので、パー3戦略よりもさらにセンター基準に寄せます。奥が“死んでいる”なら手前をOKに、池・深バンカー側には外さないターゲットに。
パー4:ティーで無理をしない→セカンドで整える
ティーショットはフェアウェイ優先。セカンドはセンター狙い+番手ゆとりで、無理なピン狙いを封印。ラフからは花道経由を選びやすくすると安定します。
パー5:2オンはボーナス扱い、3打目勝負
雨のパー5はダフリ/チョロで崩れやすいホール。レイアップ戦略に切り替え、得意距離(100y/80yなど)を残して3打目勝負へ。
アプローチ&バンカー:転がし基準+リスク回避
濡れたフェアウェイやラフはクラブが刺さりやすく、出球・スピンが不安定です。そこで、
- 転がし(チップ&ラン)優先:着地点はいつもより1〜2m奥に設定し、番手でランを調整。
- 濡れラフ:スピンが乗りにくく出球は低めになりがち。安全サイドへ外れてOKの設計に。
- ウェットバンカー:砂が重く距離が出にくい=そもそも入れないライン取りを最優先。入ったらセンター安全地帯への脱出を最優先。
パッティング:タッチ最優先で“届かせる”
濡れたグリーンは一般に遅く重い(一部は水膜で不規則)。
- しっかり目のタッチ:1〜2mは弱さNG。迷ったら届かせるを優先。
- ラインより距離:微妙な芝目より傾斜とタッチを重視。
- “外してOK”のゾーン:オーバーが危険ならカップ手前終わりを許容する。
OK/NG早見表
| 行動 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| 目標を“守り”に変更(ボギーペースOK) | OK | 無理なチャレンジを減らして大叩きを防ぐ |
| ティーショットでドライバー一択をやめる | OK | UT/3W/アイアンでフェアウェイ優先。突き抜けや池を回避 |
| 端ピンを雨でも攻め続ける | NG | 距離とスピンのズレでショートサイドに外れやすい |
| アプローチは転がし基準で着地点を奥に | OK | 濡れた面で“届かない”を防ぐ。再現性が高い |
| 1〜2mのパットを弱く打つ | NG | 雨の遅さで手前ショートが増える。“届かせる”を徹底 |
雨ホールの60秒ルーティン
- コンディション確認(10秒):雨量・風・ライ(濡れ具合)をざっくり把握。
- 危険側と安全サイド(10秒):池・深ラフ・バンカーを確認し、外れてOKの方向を決める。
- 番手と狙い(20秒):番手はゆとり、狙いはセンター基準+端ピン封印。
- アプローチ設計(10秒):転がし優先。着地点はいつもより奥。
- パット(10秒):タッチ最優先。“届かせる”を合言葉に。
よくある質問(FAQ)
- Q. 雨の日は何番手上げれば良い?
- A. 厳密なm/sよりも、「番手をケチらない」が基本。向かい風や打ち上げが重なれば+1〜2番手も視野に入れてOKです。
- Q. ラフが重くてセカンドが苦手です。
- A. 無理にグリーン直狙いせず、花道や広いエリアに刻む発想に切替。レイアップ戦略はパー4でも有効です。
- Q. 雨の日のチップはどこに落とせばいい?
- A. 基本は転がしで、いつもより1〜2m奥へ。濡れた面は遅くなりやすいので、手前着地はショートの原因になります。
- Q. バンカーが濡れて重いときの考え方は?
- A. まずは入れないライン取りが戦略。入ったら「距離より脱出」優先でセンター安全地帯へ。
- Q. 雨の日ならではのルールはどこで確認?
- A. 本記事は戦略編です。ルールや救済は別記事(雨の日のルール&運用)を参照してください。