旗がバタバタとはためき、ボールが風に押し戻される強風ラウンド。
いつも通りの番手・高さで打とうとすると、「読めない」「止まらない」「曲がりすぎる」で大叩きしがちです。
一方で、風の強い日は周りもスコアを崩しやすい日。こちらが少しだけ戦略を変えるだけで、相対的にはかなり有利に戦えます。
本記事では、強風の日に意識したい目標スコアの考え方から、クラブ選び・弾道、パー3/4/5別の攻め方、グリーン周りやパットのポイントまで、ラウンド中にすぐ使える形で整理します。
まず結論(30秒サマリー)
- 強風の日は「ベストスコア更新」ではなく、大叩きしないスコアを守る日だと割り切る。
- 風向きごとに、風の読み方と向かい風対策の基本を押さえつつ、番手&高さを変える。
- パー3:ピン狙いをほぼ封印し、センター+安全サイドに徹する。
- パー4:ティーショットのクラブ選びと、風向きに応じた安全サイドの使い分けがカギ。
- パー5:2オンはボーナス扱い。レイアップで得意距離を残し、3打目勝負に切り替える。
- グリーン上では、「風で揺れる体」を前提にしたスタンス・ルーティンにしておく。
強風の日は「スコアを守る日」と割り切る
まず大前提として、風が強い日は、
- キャリーが伸びない・伸びすぎる
- ボールが横風に流される
- アプローチやパットの距離感が狂いやすい
など、「ナイスショットでもナイス結果にならない」ことが増えます。
そこでおすすめなのは、ラウンド前に
- ベストスコア更新 → 今日はボギーペースでOK
- バーディ狙い → ダボ以上を出さない
といった目標の下方修正を、あえてやっておくことです。
メンタル的にハードルを下げることで、力みや無理なチャレンジが減り、結果的にスコアがまとまりやすくなります。
風が強い日に共通する基本調整
ホール別の話に入る前に、強風ラウンド全体で共通する基本を整理しておきます。
1. 番手選び:向かい風=番手アップ/追い風=番手ダウン
風の読み方ガイドでも解説していますが、ざっくりした目安は次の通りです。
- 向かい風(アゲインスト):+1〜2番手(風が強ければ強いほど、番手を上げる)
- 追い風(フォロー):−1番手 or コンパクトスイングで距離を抑える
- 横風:番手は大きく変えず、ライン調整をメインにする
細かく「◯m/sだから◯番手」と決めすぎるより、
「強ければ+2、そこまででなければ+1」ぐらいの感覚の方が実戦では迷いにくくなります。
2. 弾道の高さ:低め+コンパクトが基本
強風の日は、高い弾道ほど風の影響を受けやすく、
- 向かい風で大きく失速
- 横風で曲がり幅が倍増
といったリスクが増えます。
おすすめの調整は、
- ボール位置をいつもより少し右寄りにする
- スイングを8〜9割に抑えて、コンパクトに振る
- 上級者であれば、スティンガーショットやパンチショットも選択肢
といった「低め+コンパクト」のセットです。
3. 安全サイドの考え方はいつも以上に厳守
風が強い日は、いつも以上に「安全サイド」の考え方が重要になります(詳しくは ピン位置と安全サイドの記事)。
- 右から左の強風+右OBなら、絶対に右には外したくない。
- 左から右の強風+左池なら、左の池方向へ打ち出さない。
風向きとOB・ハザード位置をセットで見て、
- 「風に流されてもまだマシ」な方向を安全サイドに決める
のがポイントです。
パー3の攻め方:ピン狙い封印で「センター+安全サイド」
パー3は、風の影響を一番ダイレクトに受けるホールです。
詳しい基本は パー3ホールの攻め方 で解説していますが、強風の日にはさらに慎重に行きます。
風が強いパー3の基本方針
- ピンを直接狙わない(特に奥・端ピン)
- グリーンセンター+安全サイドを基準にする
- 「乗ればOK、乗らなくても簡単なアプローチが残る」方向を選ぶ
例:右から左の強風+左手前が池のパー3
- 風向き:右→左で、ボールは左に流されやすい。
- 左手前の池:風に乗ると左手前に引き込まれやすい。
この場合、
- ターゲット:グリーン右〜中央寄りに設定。
- 番手:風を見て+1〜2番手を検討。
多少右に残っても、安全な花道 or ラフからのアプローチで済むようにしておきます。
パー4の攻め方:ティーショットのクラブ選びが勝負
パー4では、
- ティーショットのクラブ選び・ライン取り
- セカンドの番手調整
の2つがポイントになります。
1. ティーショット:風向き別の考え方
- 向かい風+狭いホール
→ 無理にドライバーで飛ばさず、狭いホール戦略も踏まえ、
UTやFWでフェアウェイキープ優先。 - 追い風+OBが近いホール
→ 追い風でランが出るので、短いクラブに落としても十分距離は出る。 - 横風+片側OB
→ OB側と逆方向の風ならまだマシですが、
OB側と同じ方向の風なら、いつも以上に安全サイドへ逃がすラインを選ぶ。
2. セカンドショット:グリーンセンター+手前寄りが基本
強風の日は、「ピン高ジャスト」の距離感を合わせるのが難しいので、
- 向かい風:センター〜やや手前でOK
- 追い風:センター〜やや奥をイメージしつつも、奥が死んでいるならショート目
など、あらかじめ縦のブレを許容する範囲を決めておいたほうが、結果的にミスが小さくなります。
パー5の攻め方:2オン欲を抑え、レイアップ勝負に
風が強い日のパー5は、スコアを作りやすいホールであると同時に、欲を出すと大叩きしやすいホールです。
詳しくは パー5のレイアップ戦略 で述べていますが、強風の日は特に、
- 2オン狙いをボーナス扱い
- 3打目勝負に切り替える
意識が大切です。
風が強い日のパー5・基本の流れ
- ティーショット:OBを絶対出さないクラブ&ラインを優先。
- 2打目:向かい風なら安全な花道 or 得意距離にレイアップ。
- 3打目:短いクラブでグリーンセンター+安全サイドを狙う。
特に向かい風の2打目で、
- 無理にウッドで距離を稼ぐ → ダフリ・チョロ・OB
というパターンは典型的な大叩きルートなので、
あらかじめ「今日は刻みの日」と決めてしまうくらいでちょうど良いです。
グリーン周りとパッティング:風を前提にした構え
強風の日は、ショットだけでなくアプローチとパットにも影響が出ます。
アプローチのポイント
- 低く出して早く落とす → 高く上げるロブ系はなるべく減らす(チップ&ラン多め)。
- 横風では、風上側から転がすルートを選べると距離感が合わせやすい。
- フォローではランが出やすいので、キャリーを短めに設定。
パッティングのポイント
- 風で身体が揺れやすいので、スタンスをやや広めにとる。
- ショートパットはしっかり目に(弱いと風+芝目で持っていかれやすい)。
- 距離感の記事や 転がり改善 と同様、
ストロークのテンポ一定を最優先にして、結果は風のせいにするくらいの気持ちでOK。
強風ラウンド前にチェックしたい持ち物
強風の日は、ギア周りもスコアに直結します。持ち物チェックリスト や 雨の日のルール&運用 と合わせて、次の点も確認しておきましょう。
- 帽子:飛ばされにくいキャップ or 調整できるもの。
- タオル:クラブ・グリップをこまめに拭けるよう、余裕を持った枚数。
- レインフード:傘がさしにくい強風時は、フード+タオル回転が基本。
- 防風インナー:厚着しすぎず、振れる服装を優先。
OK/NG早見表(強風ラウンド編)
| 行動 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| 目標スコアを「守り」に下げる | OK | 力みや無理なチャレンジが減り、トータルのミスが少なくなる |
| 向かい風で番手を1〜2つ上げる | OK | 低め+コンパクトスイングとセットで距離と方向を安定させる |
| 横風で安全サイドに広く逃がす | OK | 風+持ち球の組み合わせを見て、「風に流されてもマシな側」に外す発想 |
| 強風でも普段通りの高さ&フルスイング | NG | 高さが出るほど影響が大きい。コンパクト&低めを意識する |
| 向かい風パー5で2オン狙いを続ける | NG | ダフリ・チョロ・OBで大叩きリスク大。3打目勝負に切り替える |
| 強風で揺れる中、ショートパットを弱く打つ | NG | 弱いほど風と芝目の影響を受ける。1〜2mはしっかり目に |
強風ホールの60秒ルーティン
- 風向き&強さの確認(10秒)
– 旗・木・雲・体感で、向きと強さをざっくり把握。 - 危険側&安全サイド(10秒)
– OB・池・林と風向きをセットで見て、「風で流されてもマシな側」を決める。 - 番手と弾道(20秒)
– 風向きに応じて番手を±1〜2クラブ調整。低め+コンパクトを基本に。 - 狙いどころ(10秒)
– パー3ならセンター+安全サイド、パー4・5ならフェアウェイの広いゾーンをターゲットに。 - ショット(10秒)
– 「風で多少ずれてもOK」の範囲をイメージし、結果よりプロセスに集中して打つ。
よくある質問(FAQ)
- Q. どれくらいの風から「強風ラウンド」と考えればいいですか?
- A. 体感で「旗が常に大きく揺れている」「番手を2つ上げたくなる」レベルなら、戦略を変える価値があります。細かいm/sより、番手調整が必要かどうかで判断するとシンプルです。
- Q. 強風の日は、スコアが悪くても仕方ないですか?
- A. 絶対値のスコアは落ちやすいですが、周りも同じ条件です。スコア分析でも触れている通り、「コンディションに対する対応力」も実力の一部なので、強風でも大叩きを減らせれば十分“勝ち”だと考えてOKです。
- Q. 風が強いときでも、ドライバーを使うべきでしょうか?
- A. ホールの広さやOB位置にもよりますが、向かい風+狭いホールでは、UTやFWに落とす選択肢を強くおすすめします。追い風+広いホールなど、条件が揃ったときだけドライバーの飛距離を活かすイメージです。
- Q. 強風の日のパッティングが一番苦手です。
- A. ストロークのテンポを一定に保つことを最優先にし、結果はある程度「風のせい」にしてしまうくらいで構いません。距離感やライン読みの記事も合わせて、ショートパットの再現性アップを目指しましょう。
- Q. 強風が苦手で、そもそもラウンドしたくありません。
- A. 気持ちはよく分かりますが、強風ラウンドは「対応力」を鍛える最高の練習日でもあります。目標スコアを下げて「今日は風対応の練習」と割り切ると、気楽にチャレンジしやすくなります。