アンプレアブル(Unplayable Ball)は、プレーヤー自身の判断で「この球は打てない」として救済を選べる制度です。ペナルティエリア(PA)以外の全域(ティーイングエリア/ジェネラルエリア/バンカー/グリーン)で宣言でき、原則は1打罰。本記事では、選べる救済と正しい手順、使い分けの考え方を“現場で迷わない”順に整理します。
目次
アンプレアブルの基本(まず結論)
アンプレアブルはプレーヤーだけが決められる救済で、PA内を除くどこでも宣言可。選択肢は次のとおりです。
- ①【1罰】ストローク&ディスタンス:前打地点に戻って打ち直し(ティーからなら再ティー可)。
- ②【1罰】後方線上:ホール—元の球の位置を結ぶ線上の後方でドロップ。
- ③【1罰】横方向2クラブレングス:元の球の位置を基準に、ホールに近づかない2クラブ内でドロップ。
※球がバンカー内にあるときは、②③はバンカー内に限定。さらに④【2罰】後方線上で“バンカー外”に出す特例が使えます(詳細は下記)。
どこで宣言できる?(区域別の考え方)
アンプレアブルはPA内を除く全域で宣言できます。区域ごとの違いは次のとおりです。
- ティーイングエリア:①で再ティー可(ティーアップOK/球交換可)。
- ジェネラルエリア:①②③の1罰×3から選択。
- パッティンググリーン:①②③の1罰×3から選択(ドロップで再開)。
- バンカー:①②③はバンカー内、加えて④【2罰】後方線上で外へが選べる。
- ペナルティエリア:宣言不可。PAの救済(有罰)で処理します。
各オプションの手順(失敗しないための要点)
①【1罰】ストローク&ディスタンス(打ち直し)
直前のストローク地点に戻って次の1打を加算してプレー再開。ティーからの前打なら再ティー可、グリーンからの前打ならプレース、それ以外はドロップです。
②【1罰】後方線上(Back-on-the-Line)
ホール—元の球の位置を結ぶ直線上で後方に下がり、線の上にドロップ。最初に線に触れた地点から1クラブレングス内に静止すればOK。
※バンカー内の球はバンカー内で実施(④以外)。
③【1罰】横方向2クラブレングス
元の球の位置を基準点に、ホールに近づかない2クラブ内でドロップ。
※バンカー内の球はバンカー内で実施(④以外)。
④【2罰】(バンカー特例)後方線上で“バンカー外”
バンカーの球に限り、2罰で後方線上のバンカー外へ出せます。目玉や土手際など、1罰の選択肢では大叩きが濃厚なときの撤退路として有効です。
共通のドロップ規則(ここだけは厳守)
- 膝の高さから真下へドロップ。
- ②後方線上は線の上に落とす→最初に線に触れた地点から1クラブ内に静止。
- ③横方向は救済エリア内に落ちて内に止まること。
- 収まらなければ再ドロップ、それでも不可なら置く(プレース)。
探索・ロスト・プロビジョナルとの関係
アンプレアブルは球が見つかっている前提で②③が使えます。見つからない場合は原則ロスト=①(打ち直し)です。ティーショットでロストやOBの可能性があるなら、暫定球(プロビジョナル)を打っておくと進行が速くなります(見つかったら暫定は無効)。
どれを選ぶ?(使い分けの目安)
- 確実に安全ゾーンへ戻す:①(打ち直し)。リスク回避優先。
- 距離は戻っても良い、障害物を避けたい:②(後方線上)。土手・樹木の背面に逃げるのに有効。
- 位置を少しだけずらしたい:③(横方向)。2クラブ内でスタンス確保や枝回避。
- バンカーが絶望的:④(2罰で外へ)。被害最小化を最優先。
よくある誤解(NG集)
- PA内でもアンプレアブルできる → ×:PAは別ルール(有罰)で処理。
- 球が見つからなくても横方向2クラブが使える → ×:②③は元位置が特定できることが前提。見つからなければ①へ。
- 都合の良いライへ動かせる → ×:②③は規定エリア内のみ。近づかないを厳守。
- 後方線上は“線の近くならOK” → ×:線の上に落とす→最初の接地点から1クラブ内が要件。
実戦あるある(ケース別の判断)
- 林の根元に突っ込んだ:②で根と反対側へ下がる/③で枝を避ける/不確実なら①。
- 茂みの奥に入り込んだ:球が見つからなければ①。見つかれば②③。
- グリーンのエッジ付近で段差・植栽が邪魔:②③で安全スペースを作る(PAやACCなら別救済も検討)。
- バンカーの目玉・土手際:まずは③(中で2CL)→状況次第で④(2罰で外)。
よくある質問(FAQ)
- グリーン上でもアンプレアブルは使える?
- はい。PA以外ならどこでも可。①②③から選べます(グリーン上でもドロップで再開)。
- 後方線上はどこまで下がってもいい?
- 制限はありません。線上であれば、プレーしやすい位置まで下がれます。
- 球が見つからないけど“この辺”にあるはず。②や③は使える?
- いいえ。②③は元の球の位置が特定できることが条件。見つからなければ①(打ち直し)のみです。
- PAの縁にあって打てない。アンプレアブルで外へ?
- PA内の球はアンプレアブル不可。ペナルティエリアの救済で処理します。