気温が下がる冬は、キャリーが落ちる/スピンが乗りにくい/グリーンが止まらないなど、夏とは別競技になりがち。
この記事では、時間帯で変わる地面とグリーンの状態を前提に、ティーショット→セカンド→アプローチ→パットまでの“冬用の決め打ちルール”をまとめます。ルールや技術の詳細は関連リンク(風の読み方・転がし寄せ 等)も併用してください。
目次
まず結論(30秒サマリー)
- 低温=キャリー落ちやすい → 基本は+1番手、強い向かい風や打ち上げなら+2番手も。
- 朝の凍結グリーンは止まらない → 手前から、転がし寄せ(チップ&ラン)多め。昼に緩んだら逆にショート目に注意。
- アプローチは高さより再現性 → 花道からエッジ+2歩着地の設計を基準。
- パットは“傾斜>芝目”(冬は芝目が弱い)。タッチ重視でOK。
- ティーショットは置き場所優先(狭いホール戦略・ドッグレッグを参照)。冬は突き抜けランと逆に止まる足元の両方を想定。
冬に起きる主な変化(ゴルフ性能の“前提”が変わる)
- 低温:ボールも体も硬くなり、初速&スピン低下→キャリー短縮。
- 地面:朝は凍る→昼に緩む(場所によってはぬかるむ)。
- 芝:成長が止まり芝目の効きが弱い(芝目の読み方参照)。
- 風:乾いた北風の日は高い球が流されやすい(風・向かい風対策)。
【時間帯別】グリーン&地面に合わせた立ち回り
早朝(霜・凍結):止まらない&弾む前提
- 狙い方:グリーン手前から。奥NG。端ピンは追わない。
- セカンド:キャリーでピン高は狙わず、センター手前基準。
- アプローチ:チップ&ラン優先。低く早く落とす。
- パット:出球がはねやすい。短い距離はしっかり目、長い距離はタッチ最優先。
午前後半〜昼(解凍・緩み):ショート目に注意
- 狙い方:地面が重くなり、キャリーもさらに落ちやすい。+1〜2番手で。
- アプローチ:緩い地面はダフリが出やすい → スイングはコンパクト、手首を使い過ぎない。
- パット:砂や水分で遅くなる日は、オーバーさせるつもりで。
夕方(再冷え込み):ラン再増加&突き抜け注意
- ティーショット:ランが出てコーナー突き抜けリスク。ドッグレッグは番手ダウンも。
- アプローチ:再び低い球+早め着地で。
ティーショットの冬戦略(置き場所>飛距離)
- 番手選び:狭い・突き抜けが怖い日は3W/UT/ロングアイアンへ(狭いホール参照)。
- 弾道:風の日は低め+コンパクト。向かい風対策・スティンガーも選択肢。
- ターゲット:安全サイドを固定し、典型ミスがOK側に出る狙いを徹底。
セカンド&狙いどころ(ピン高ジャストを捨てる)
- 縦距離:冬は+1番手が基本。打ち上げ/打ち下ろし・風を足し引き。
- 狙い:ピン直よりセンター基準。奥が死んでいる日は手前、手前バンカーが効く日は+番手で奥目に安全着地。
- パー5:2オンはボーナス。得意距離を残すレイアップで3打目勝負。
アプローチ(冬は“転がし優先”が正解)
- 基本:チップ&ランでエッジ+2歩着地→番手でランを作る。
- 凍結グリーン:着地はさらに手前(+1〜2歩)に。球を高く上げて止めに行かない。
- ぬかるみ:コンパクトにボール先行でクリーンヒット。芝の抵抗を見込んで番手を1つ立てる(PW→9I等)。
- 凍ったバンカー:砂は硬い=ほぼ硬いライ。開きすぎずスクエア寄りで、ボール先を薄く。
(重い湿砂の日はしっかりエクスプロージョンで振り抜く)
パッティング(冬は傾斜優先+タッチ重視)
- 読む順番:芝目より傾斜>硬さ/速度。カップ周りの最後の転がりだけ芝目を微調整。
- タッチ:凍結や砂が入った日は“跳ねる or 止まる”前提。ショートパットはしっかり目、ロングは再現性優先。
- ルーティン:風で揺れる日はスタンス広め+テンポ一定(プレーファストも意識)。
装備&小ワザ(体温=再現性)
- レイヤリング:動ける防風インナー+薄手重ね着。厚着で可動域を殺さない。
- 手元保温:ポケットにカイロ、グローブは替えを複数。グリップは常に乾いた状態に。
- ボール選び:低温では柔らかめの打感を好む人が多い。ラウンド前に打感を確認。
- 持ち物:チェックリストに防風ウェア・ハンドタオル増量・レインフードを追加。
OK/NG早見表(冬版)
| 行動 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| 基本は+1番手、条件次第で+2番手 | OK | 低温でキャリーは落ちる。風・打ち上げはさらに足し算 |
| 凍結グリーンに高い球で“止めに行く” | NG | 弾んで奥へ。低く早めに落として転がし設計 |
| 昼に緩んだ地面で強振 | NG | ダフリ増。コンパクト+番手アップで |
| ティーショットで置き場所最優先 | OK | 冬は突き抜け&ラン変動。ドライバー一択にしない |
| パットは傾斜優先、芝目は最後の微調整 | OK | 冬は芝目が弱い。タッチの再現性を最優先 |
冬ラウンドの60秒フロー
- コンディション確認(10秒):凍結 or 緩み? 風は?(風の読み方)
- ターゲットと安全サイド(10秒):危険側の反対を明確化。
- 番手補正(20秒):低温+風+高低差(打ち上げ/下ろし)で±1〜2番手。
- アプローチ設計(10秒):エッジ+2歩着地→番手でラン調整。
- パット(10秒):傾斜優先+タッチ一定。迷い直さない。
よくある質問(FAQ)
- Q. 冬の朝は何番手上げるべき?
- A. まず+1番手を基準にし、向かい風・打ち上げ・緩い地面が重なれば+2番手も視野。厳密さより「大叩きを防ぐ幅取り」を重視しましょう。
- Q. 凍ったグリーンで止めるコツは?
- A. 「止める」発想を捨てて、手前から低く着地→転がしで寄せるに切替。セカンドもセンター手前基準が安全です。
- Q. バンカーが凍っていて砂が硬いときは?
- A. ほぼ硬いライ扱い。開きすぎずスクエア寄りで、ボール先を薄くクリーンに。逆に湿って重い砂は、しっかりエクスプロージョンで。
- Q. パッティングは冬だとどう変える?
- A. 傾斜>芝目の順で判断し、タッチの再現性を最優先。凍結や砂ではねやすい日は、ショートパットをしっかり目に。
- Q. 装備は何を増やすべき?
- A. 持ち物チェックリストに、防風インナー・替えグローブ・タオル増量・カイロ・レインフードを追加。手元の保温は再現性に直結します。