グリーンの芝目(グレイン)は、パットの曲がりと速さに影響しますが、難しく考えすぎると時間ばかりかかって逆効果にもなります。大事なのは、「まず傾斜」「芝目は最後の微調整」という優先順位と、夏グリーンと冬グリーンの違いを押さえること。この記事では、芝目の基礎から読み方の5ステップ、タッチの調整まで、初心者でも実戦で使える形に整理します。
目次
まず結論(30秒サマリー)
- 最優先は傾斜。芝目は「最後の1割の微調整」と考える。
- 夏グリーンは芝が元気=芝目の影響が大きい。順目=速い&曲がり増、逆目=遅い&曲がり減が基本イメージ。
- 冬グリーンは芝目が弱く、傾斜>芝目。砂が多い日はボールが跳ねやすい。
- 芝目を読むコツは①カップ周り ②光の反射 ③色の濃淡 ④水・朝露の流れ ⑤周囲の景色の順でチェック。
芝目とは?ボールにどう影響するのか
芝目は、グリーン上の芝がどの方向に倒れているか(成長しているか)を指します。芝目が進行方向に倒れている=順目、逆方向=逆目、横向きなら横目です。
- 順目:ボールの前方の芝が寝ている → 摩擦が減り球速が落ちにくい → 速く・曲がりやすく。
- 逆目:ボールの進行方向に芝が立つ → 摩擦が増え減速しやすい → 遅く・曲がりにくい。
- 横目:芝目が左右方向 → 傾斜に加えて横方向への“押し”が増減。
夏グリーンの芝目の特徴
夏は芝が元気で、特に高麗系・バミューダ系のコースでは芝目の影響が大きくなります(日本ではベントでも夏場は芝目を感じやすい場面が多いです)。
- 順目方向にボールが転がりやすい → 順目の下りは要注意。
- 刈り跡の筋や色の濃淡がはっきり見える。
- カップ周りでも芝がはっきり倒れていることが多く、最後のひと転がりが芝目に引っ張られやすい。
冬グリーンの芝目の特徴
冬は芝の成長が止まり、芝が薄く・短く・時に茶色になったり、目砂が多い状態になることもあります。
- 芝目の影響は小さくなり、傾斜の影響が大きくなる。
- 砂が多いとボールが跳ねるため、曲がりよりタッチ重視のイメージ。
- 芝が弱いので、順目・逆目よりも“硬さ・速さ”で判断したほうが実戦的。
冬場は「芝目を読む」よりも、転がし寄せやタッチコントロールに意識を振った方がスコアになりやすいです。
芝目の読み方 5ステップ
① カップ周りを見る(最重要)
- カップの縁がギザギザに欠けている側が順目方向(ボール・芝が流れた側)。
- 逆に縁がきれいに残っている側が逆目方向。
- カップ近くの芝の倒れている向きもチェック。
② 光の反射を見る
- 光って見える方向=逆目寄り(芝の根元を見ている)。
- 暗く見える方向=順目寄り(芝の先端を見ている)。
③ 色の濃淡を見る
- 濃い緑に見える方向=順目方向(芝の葉裏が見えにくい)。
- 薄い緑〜白っぽく見える方向=逆目方向。
④ 水・朝露・雨の流れを見る
- 朝露の乾き方、雨上がりの水の流れは、傾斜+芝目の方向を教えてくれることが多いです。
⑤ 分かりにくいときの割り切り
- 「どっちとも言えない」ときは傾斜優先、芝目は0〜0.5カップ分の微調整に留める。
- 迷い続けるより、ラインとタッチの再現に集中するほうが結果が良くなります。
パットへの影響:曲がりとタッチの調整
芝目はライン(横の曲がり)とタッチ(強さ)の両方に関わりますが、やりすぎると混乱します。シンプルな目安は下のイメージです。
| 状況 | ライン | タッチ |
|---|---|---|
| 順目×上り | 傾斜+芝目でよく転がる | 基準より少し弱め |
| 順目×下り | 最も速く曲がりやすい | かなり弱め(“置く”イメージ) |
| 逆目×上り | 傾斜より曲がりにくい | しっかり目まで打つ |
| 逆目×下り | 傾斜と芝目が打ち消し合う場面も | 「下り」前提で弱め |
アプローチへの影響(ランの出方)
芝目は転がし寄せやパター以外のアプローチにも影響します。
- 順目の下りライン:ランが出やすい → 短い番手にしてキャリー少なめ、ラン多め(チップ&ラン参照)。
- 逆目の上りライン:転がりが減る → 番手を1つ立てる or キャリーを増やす。
- グリーン周りのラフは、芝目より先にライ(浮き/沈み)を優先(ラフのライ読み基礎)。
実戦での優先順位:傾斜→芝目→タッチ
読みの優先順位を決めておくと、毎回のルーティンがシンプルになります。
- 傾斜:全体の高い/低い。まずどちら側に落ちているかを確認。
- 芝目:上の5ステップで順目/逆目/横目の傾向だけ把握。
- タッチ:傾斜+芝目を前提に、「カップをどれくらいオーバーさせるか」を決める。
「ラインを完璧に当てにいく」よりも、同じタッチを何度も再現できることの方がスコアに直結します。
OK/NG早見表
| 行動 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| まず傾斜を読んでから芝目を見る | OK | 芝目は「最後の微調整」。迷いが減る |
| 芝目だけを見てラインを変えすぎる | NG | 傾斜と矛盾しやすく、混乱の元 |
| 夏グリーンで順目の下りを警戒する | OK | 最も速く・曲がりやすい組み合わせ |
| 冬グリーンで芝目を読みすぎる | NG | 影響が小さい。傾斜とタッチを優先 |
| カップ周りの芝の向きを確認する | OK | 最後にどちらへ「ひと転がり」するかが分かる |
芝目読みの60秒フロー
- 全体の傾斜を見る(グリーン全体・周囲の地形)。
- カップ周りの芝の倒れ方・欠け方を確認。
- 光の反射と色で、順目/逆目のおおよその方向を把握。
- 夏か冬かで「芝目の効き具合」を頭の中で補正。
- タッチ(どれくらいオーバーさせるか)を決めて、迷いすぎずストローク。
よくある質問(FAQ)
- Q. 芝目と傾斜が「逆」の場合、どちらを優先?
- A. 基本は傾斜優先です。芝目は0〜0.5カップ分の微調整に留め、ラインを大きく変えすぎない方が結果が安定します。
- Q. 夏グリーンで一番気をつける組み合わせは?
- A. 順目×下りです。想像以上に速く、曲がりも大きく出ます。ラインを読みすぎるよりタッチを弱める意識が大切です。
- Q. 冬グリーンは芝目を無視していい?
- A. 完全に無視ではありませんが、影響が小さいので傾斜>速さ>芝目の順で考えるくらいがちょうど良いです。
- Q. 芝目を読む時間が長くなってしまいます。
- A. プレーファストの観点からも、「傾斜→カップ周り→光の反射」の3つだけを見る簡易ルールを決めておくと迷いにくくなります。
- Q. アプローチでは芝目と傾斜、どちらを優先?
- A. まずは傾斜とキャリー:ランの設計を優先(転がし寄せガイド参照)。芝目は「順目なら少し転がる・逆目なら少し止まる」程度の調整に留めましょう。