グリーンを狙うショットで、いつもピンそのものを狙っていないでしょうか?
実はアマチュアゴルファーにとって、「ピン狙い」はごく一部の場面だけで十分。多くのホールでは、「外してもOKな安全サイド」を決め、そのエリアに打つだけでスコアが安定します。
この記事では、ピン位置(手前・中・奥/左・中央・右)とハザード配置をもとに、どこを狙えばミスの幅が小さくなるのかを整理。初心者〜100切りを目指すゴルファーが、ラウンド中に60秒で判断できるフローに落とし込みます。
まず結論(30秒サマリー)
- グリーン狙いは「ピンを刺す」ではなく「エリアを狙う」イメージを基本にする。
- 危険側(池・深いバンカー・OB側)と反対が安全サイド。外すなら必ずそちらに外す前提で狙う。
- ピン手前ならセンター寄り、ピン奥なら手前〜センター狙いが原則。
- ピンが端(左/右)なら、グリーン中央寄りに狙いをずらす。
- 番手は 自分の飛距離 と ヤード表示 を基準に、「届かせる」より「大ケガしない」方向で選ぶ。
ピン位置の基本分類と「安全サイド」の発想
まずはピン位置のざっくり分類から整理します。
- 手前/中/奥(縦の位置)
- 左/中央/右(横の位置)
これに加えて、次の3つの情報をセットで見ます。
- 危険エリア:池、深いバンカー、OB、急な下り傾斜など。
- 傾斜:奥から速い/手前から上り など。
- 自分の球筋:持ち球(フェード/ドロー)、ミスの傾向。
そして、どんなホールでも共通の発想がこれです。
- 「危険エリアの反対側」=安全サイド
- 「ここだけは絶対に行きたくない」を先に決め、それと逆側に外れるような狙いを取る
詳しいコース全体の考え方は、コースマネジメントの記事も参考にしてください。ここではグリーン周りに特化して話を進めます。
考える順番は「ハザード → 傾斜 → ピン位置 → 自分の球筋」
情報を全部見ようとすると混乱するので、次の順番だけ覚えておくとシンプルです。
- 危険エリア(ハザード)
– 池・深いバンカー・OB・崖など「行ったらほぼボギー以上確定」のゾーン。 - 傾斜
– 奥から速いのか、手前から上りなのか。特に奥が“死んでいる”かどうかをチェック。 - ピン位置(手前/中/奥/左右)
– ピンそのものではなく、「安全にパットできるエリア」を探す。 - 自分の球筋
– フェード派なら右のミスが出やすい…といった特徴を、狙いから逆算する。
この順番で見ると、「結果としてピンを刺す」ことがあっても、常に安全策の中での“攻め”に収まります。
縦位置別:手前・中・奥ピンの狙い方
1. 手前ピンのとき
- グリーン手前にバンカー/池/急な砲台があることが多い。
- ピン手前5〜10ヤードショート=ほぼバンカー/傾斜という罠もよくあります。
おすすめの狙いどころ
- 原則:グリーン「センター」狙い
- グリーンが小さい場合:ピン+5〜8ヤード奥のイメージで番手を選ぶ。
- 「ショートだけはNG」なので、フライヤー警戒よりショートのリスクを優先して考える。
ラフからで フライヤーが出そうなライ なら、「センター狙いだけどキャリーはピン手前」など、ライと組み合わせて調整します。
2. 中央ピンのとき
- 最も攻めやすい位置。グリーン中央やや安全サイドを狙えばOK。
- ここで無理をして「ベタピン」を狙いすぎると、左右のハザードに捕まりやすい。
おすすめの狙いどころ
- 危険エリアが左ならやや右寄り、右ならやや左寄りのセンター狙い。
- 縦距離はピン〜+数ヤードくらいのイメージで、ショート目を避ける。
3. 奥ピンのとき
- 「奥が死んでいる」(下り傾斜・バンカー・OBなど)ケースが多い。
- グリーン中央を越えてから急に速くなるパターンもよくある。
おすすめの狙いどころ
- 原則:ピン“手前”〜グリーンセンター狙い。
- 奥に外すミスだけは避けるため、番手は控えめ(−0.5〜−1番手)も検討。
- 「奥ピン=手前に乗せて上りパットでよし」の発想が安全。
奥が極端に危険なら、ラフからのショット同様、絶対ショート目の原則でOKです。
横位置別:左ピン・右ピンの狙い方
左端ピンのとき
- グリーン左にバンカー・OB・深いラフがあるかを最優先で確認。
- ドローヒッターは左へのミスが大きくなりやすいので要注意。
おすすめの狙いどころ
- 危険が左なら、グリーン中央やや右寄りをターゲットに。
- フェード持ちなら、「ピン右に出して少し左へ戻す」イメージはアリ。ただし出球が左だけはNG。
右端ピンのとき
- グリーン右に池・バンカー・OBが置かれやすい。
- フェードヒッターは、右の出球がそのまま流れていくリスクがある。
おすすめの狙いどころ
- 危険が右なら、グリーン中央やや左寄りをターゲットに。
- ドロー持ちなら、「ピン左からドローで寄せる」イメージは可。ただし曲がりすぎに注意。
「自分の持ち球が危険側に曲がる」組み合わせ(フェード+右ピン/ドロー+左ピン)は、無理にピンを狙わずセンター寄りに絞った方が、トータルスコアは良くなりやすいです。
パー3・パー4・パー5別の基本戦略
パー3:グリーンセンター基準でOK
- ほとんどの初心者〜中級者は、パー3は常にセンター狙いでも十分。
- ピン位置は「グリーンセンターからの距離感」を微調整する程度に留める。
例:
- ピンが手前でも、センターキャリー+少し戻る/転がるイメージ。
- ピンが奥でも、センター〜やや奥まで。奥オーバーだけは避ける。
パー4・パー5のセカンドショット
- 残り距離が150y以上なら、基本はグリーン全体 or 花道狙い。
- ピン位置は「どちらに外すか」の判断材料として使う。
例:
- 左が池・右が安全ラフなら、やや右寄りセンター狙い。
- 奥が極端に危険なら、手前花道+簡単なアプローチでOK。
パー5の3打目(100切りを目指す層向け)
- ここは「寄せワン」より「2パットでOKなエリア」に乗せるイメージ。
- 寄せワンを狙いたくても、まずは安全サイド優先で。
ピン奥+奥が危険なときは、あえて花道から 転がし寄せを残す選択もスコア的には十分アリです。
ミスの許容方向を決める:「ここだけは行かない」
ピン位置とハザードを見たら、そのホールでの「絶対に行ってはいけない方向」をはっきり決めておきます。
- 左が池なら左NG・右OK。
- 奥がOBなら奥NG・手前OK。
- ショートサイドで 余白がない側ならそのサイドNG。
そして、狙いを決めるときは、
- 自分の典型的なミスが「OK側」に出やすいように、ターゲットをずらす。
例:フェード持ち+右が池なら、左サイドのラフ〜グリーン左端くらいを狙っておくと、フェードしてもまだ安全圏内、という発想です。
OK/NG早見表
| 判断・行動 | OK/NG | ポイント |
|---|---|---|
| 「危険側の反対」を安全サイドとして決めておく | OK | ターゲットが明確になり、迷い打ちが減る |
| パー3は基本「グリーンセンター」狙い | OK | ピン位置よりもグリーンヒット率を優先 |
| 奥が死んでいるのに奥ピンを“ビタ狙い” | NG | わずかなミスで大叩きにつながる |
| 自分の持ち球が危険側へ曲がるのにピン直狙い | NG | 典型ミスがそのままトラブルへ直結する |
| セカンドが150y以上なら「花道〜安全サイド」基準 | OK | 100切りを目指す層には現実的な戦略 |
| ラフからフライヤーを想定して番手&狙いを調整 | OK | フライヤー対策と組み合わせると効果的 |
60秒の現場フロー
- 危険側の確認:池・バンカー・OB・急傾斜の位置をチェック。
- 傾斜:奥から速いか、手前から上りか。特に奥NGかどうかを判断。
- ピン位置:手前/中/奥、左/中央/右をざっくり分類。
- 安全サイドを一言で決める
– 例:「左は絶対NG、右OK」「奥NG、手前OK」など。 - ターゲット決定
– グリーンセンター or 安全サイド寄りにターゲットを取り、自分の持ち球をイメージしてショット。
よくある質問(FAQ)
- Q. いつなら「ピンを狙いにいっても良い」ですか?
- A. 100y以内・ライが良い・危険側が少ないときが目安です。それでも、危険エリアが近い場合は「ピンの反対側カップ半個〜1個分」を狙う程度に留めると安全です。
- Q. 100切りを目指すレベルでは、どれくらいピンを狙うべき?
- A. 体感で全体の2割以下で十分です。残りの8割はグリーンセンター+安全サイド寄りを基準にしたほうがスコアはまとまりやすくなります。
- Q. 風が強い日や雨の日はどう考えればいい?
- A. 風や雨の日は、まず 風の読み方 や 雨の日のプレーとルール を優先。ピン位置で細かく攻めるより、大きめのエリア狙い+安全サイドの意識が大切です。
- Q. 花道に刻んでアプローチを残すのは「逃げすぎ」ですか?
- A. いいえ。特に 100切りに悩んでいる層 では、花道から 転がし寄せ を選ぶほうが、トータルで見てスコアが良くなりやすいです。
- Q. 自分の持ち球が決まっていない場合はどうすれば?
- A. まずは練習やラウンドで「ミスが多い方向」を観察し、その方向を危険側にしないようターゲットを取るのが現実的です。持ち球がフェードかドローか分からなくても、「典型ミスの方向」さえ把握できれば、安全サイド戦略は機能します。